人の好みは千差万別。
もし、みんなの好みが完全に一致していたら、往年の映画スターもアイドルも、きっと全員同じような顔ばかりになってしまうだろう。だけど実際には、いろんな顔がハンサムだ美人だと言われてもてはやされている。
嵐の5人の顔立ちは全員異なっているし、AKBやかつてのモーニング娘。も、メンバーのそれぞれが別の特徴を持つ顔をしていた。アイドルグループがメンバーに異なるタイプの顔を揃えるのは、世の中の一般的な男性や女性が好む顔立ちに、それだけ幅があるからだ。
だから、ついうっかり考えてしまう。
「彼の好みの芸能人は誰?」
それが分かれば、彼の好みの顔が分かる。それで、
「自分が彼にとって好みのタイプかどうかが分かる」
これは、半分は本当だけど半分はウソ。そして、彼の好みのタイプが分かって、それに自分が当てはまっていようといまいと、彼が君を好きになるかどうかは一切関係しないんだ。
■男だって「世間体」を考えて「ウソの好み」を口にする
片想いをしている女性が一番知りたいのは、もちろん意中の彼の好みの女性芸能人だろう。北川景子なのか。佐々木希なのか。小雪かもしれないし栗山千明かもしれないし、AKBの誰かかもしれない。
だけど、片想いでまだ腹を割った話ができない関係では、彼の「好みの女優・アイドル」をいきなり聞くことは叶わないだろう。聞けば、よほど鈍感な男以外は、彼女が自分に気があるのでは、と感づいてしまうし、それを女性側も分かっている。
だから、片想いの彼の好みのタイプが聞けるのは、会社の集まりや飲み会の席や、合コンでピンとくる彼がいたとして、他にも仲間がいて盛り上がっているときだろう。
そんなとき、彼は本音を言うだろうか?これは逆に自分の立場で考えても同じだと思う。会社の好きな先輩が、嵐の松潤に似てるとする。誰が見ても、ではなくてもどことなく似ていれば、10人いる部署だったら半数は「彼は松潤と少し似ている」と思っているものだ。
それなのに、「好きな芸能人は?」と聞かれて「松潤」とはさすがに答えにくい。
そして、イケメン好きと思われると、なんとなく居心地が悪い。だから、多くの女性がそんなとき「明石家さんま」なんて心にもない無難な芸能人の名前を口に出す。
顔の好みに限定されると今度は本当のファンも中にはいるだろうけれど、「佐々木蔵之介」なんて答える。確かにかっこいいけれど、でもここ数年、あまりにも多くの女性がこういう場面で「佐々木蔵之介」と答えるのに遭遇して、それに対するその場の男たちの「いいよね!渋いよね。演技上手いよね」という「良かった。彼女はそこまでイケメン好きではなく、中身も見るんだ」という反応に、なんとなくモヤモヤしてる。
だけど、これと同じことを男もしている。
中には、まったく会社やその場の女性の気持ちを無視するように、女性は誰も知らないグラビアアイドルの名前を挙げたり「北川景子」「佐々木希」と、うっかり暗に「完璧な美人しか受け付けません」宣言をしてその場の女性陣をドン引きさせる男もいるにはいるけれど。
僕の知る限り、あざといのは女性芸人を挙げる男だ。一時は「柳原可奈子」「北陽のあぶちゃん」は、よく使われていた。こんなのはもう、ほとんどの場合は好感度狙いだ。
あとは、お局様がいるような席では、決して文句をつけられないよう、かなり上の年齢の女優の名を口にする。20代、30代の男が好みの女優が「吉永小百合」なわけないじゃないか(笑)でも、そう言っておけばだいたい場は丸く収まる。
でも、こういうあからさまなウソではなく、本当に好きな女優の名前を口にすることもある。そして、問題なのは「彼はウソではなく、本当にその顔が好みなんだな」と分かる場合かもしれないね。
■男が言う「好みの女優・アイドル」の容姿と現実に付き合う女性の容姿は一致しない
同じ系統を並べるのが難しいから実際の名前は出さないけど、1人ではなく複数の芸能人を挙げてもらうと、彼の普遍的な好みの傾向は分かることがある。
ざっくりいえば、キツネ顔かたぬき顔か。ふっくらした丸顔か、細面か。美人系か可愛い系か。ギャル系か清楚系か……。
確かにときどき、好きな女優と「どことなく似てる」顔立ちの女性を彼女にしてる男もいる。ただ、それは確かに彼女を好きになるきっかけだったかもしれないけれど、決定打は顔ではなくもっと他のところにあったはずだ。
そして、好みの女優やモデルと似た顔の相手を選ぶ男、特に顔が決め手で選ぶ男はごく少数で、せいぜい男の中でも1割いるかいないか。
ほかは、北川景子のような美女が好きと言っていても、肝っ玉かあさんになりそうな骨太で顔もふっくらした女性でも、その容姿も内面もとことん惚れ抜いて結婚をすることもある。
逆に、顔はどうでもいい、太っていてもOKと言っていたのに、堀北真希のような小顔の美女と結婚して、生まれた娘には絶対に太るなと言い聞かせているような男もいる。