【真夏の怪談】「誰でもいいから助けて」「・・・助けてやろうか」【芦屋道顕】

【真夏の怪談】「誰でもいいから助けて」「・・・助けてやろうか」【芦屋道顕】

「死人を呼び戻すのか」
「できるが、後悔することになるぞ」
「やめておけ」

と応えた。男はそれでも、できるのならば、彼女を呼び戻してくれ、決して後悔などしない、と改めて懇願した。

すると、声はまた
「いいだろう」

と応えた。

次の瞬間、ぐったりとしていた彼女の身体がブルブルと震え始めた。生き返るのだ!さらに、まだ離れた場所からであるが、救急車のサイレンが聞こえ、少しずつ近づいてきていた。救助も来てくれたのだ。男は感激した。そして、声の主に問いかけた。

「ありがとう!あんたは森の神様か何かなのか?」

その問いに、声が応えることはなかった。それきり、声はしなくなり、救急車も到着した。男は喜び、まだブルブルと身体を震わせている彼女を抱きしめ「もう大丈夫だよ」と言おうとした。

しかし、彼女の顔を見た男は、ギャァ!と叫び、伸ばした腕を引っ込めてしまった。彼女の身体はまだ小刻みに震えていた。手足はピクピクと痙攣するように動いている。しかし、彼女の目は車が横転した直後と同じで生気などなく濁った色をしていた。

そして、口からよだれを垂らし、身体が震えているため、声も震えるのか「うぅ、うぅ……」と呻いていた。とても恐ろしい光景だったことであろう。しかし、幸いにも救急車が到着し、彼女を担架に乗せ運んでいった。救急車の後ろには警察車両が続いていて、無傷に見えた男は警察車両に乗せられた。

*****

その事故から一年が経った。男は大病を患い、死の淵であのときの声のことを思い出していた。

事故のあったその夜、本来ならば三大キャリアのどの携帯も圏外の山奥から、男の声で警察に、山道で車が横転してるとの連絡があったという。しかし、番号は非通知はおろか、まったく表示されず機器のトラブルを疑ったのだそうじゃ。

そして、恐ろしいことに「死人を呼び戻す」ことはできたようだったな。しかし、

関連記事

【エッセイ漫画】アラサー主婦くま子のふがいない日常(47)...

【エッセイ漫画】アラサー主婦くま子のふがいない日常(71)...

【エッセイ漫画】アラサー主婦くま子のふがいない日常(77)...

【エッセイ漫画】アラサー主婦くま子のふがいない日常(58)...

【漫画】第1回「イケてしまい過ぎる女子達へ」ユメ子の日常 作:兼山和子...

ABOUTこの記事をかいた人

『辛口オネエの開運占い』メンバー、辛口オネエ・芦屋道顕・久賀原鷹彦(Ku)の3名の共同アカウント。【免責事項】開運占い軍団の記事はオカルト・スピリチュアルに興味がある方向けのエンターテイメント目的としております。記事に掲載されている情報を利用することで発生したトラブルや損失、損害に対して、当方は一切責任を負いません。予めご了承ください。