狐の噂(1)鳥羽上皇の殺害を企んだ『九尾の狐』伝説とは?【芦屋道顕】

狐の噂(1)鳥羽上皇の殺害を企んだ『九尾の狐』伝説とは?【芦屋道顕】

狐の噂(1)鳥羽上皇の殺害を企んだ『九尾の狐』伝説とは?【芦屋道顕】

2022年3月6日、ニュースはロシアとウクライナの戦争一色の中、一見するとどうでも良いような、しかしなにやら不穏なニュースを発見したのじゃ。

■『殺生石』が真っ二つに。『九尾の狐』の封印が破られた?

殺生石 真っ二つ 以前からひび、自然現象か 那須

 「九尾の狐(きつね)伝説」で知られる栃木県那須町湯本の国指定名勝「殺生石」が真っ二つに割れたことが5日、分かった。

https://twitter.com/karakuchionee/status/1500402567670829057?s=21

伝説の詳細は後にするとして、何より『封印してあった石』が『割れた』とは、つまり『封印が破られた』ので、これはやはり多くの人々が『石の中に封じられて妖(あやかし)が自由になってしまった』と考えるのも無理からぬこと。

■封印の経緯を考えれば石が割れても問題なし?

狐の噂(1)鳥羽上皇の殺害を企んだ『九尾の狐』伝説とは?【芦屋道顕】

殺生石(public domain)

その一方で、SNSでは殺生石の伝説と封印の経緯から、割れても問題なしと見る人々も多いようじゃな。実はわしも、石が割れたことは霊的には問題がないと思うておる。その理由はこの記事の次の記事にするぞよ。

まずは九尾の狐の伝説についてはすでにニュースでも触れられているが、ざっと以下のようなもの。

室町時代の文献などによると、九尾の狐が美しい女性に化けて鳥羽上皇を殺そうとしたところを陰陽師(おんみょうじ)に見破られ、那須まで逃げた末に退治され石になった。石が放つ毒気で多くの生き物が命を落としたため「殺生石」と名付けられた

■鳥羽上皇に寵愛された『玉藻前(たまものまえ)』は九尾の狐が化けていた?

玉藻前

諸説はあるが『玉藻の草紙』他には『玉藻前』『玉藻前物語』など名前は様々あるようじゃが、室町時代に書かれた御伽草子(おとぎぞうし)なる絵入りの短編物語が初出らしい。しかし、物語の時点では殺生石とは関係がなく、同じ室町時代に能と狂言の『能』の演目に『殺生石(せっしょうせき)』があって、別々の話が一つになったのでは、とも言われておるそうじゃ。

■九尾の狐が殺生石となった顛末は?

現代に伝わる伝説では、ある子供のいない夫婦が女の赤ん坊を引き取り育てたところ、とても美しく成長し、宮廷に呼ばれ鳥羽上皇の寵愛を受けるようになり、その頃から『玉藻前』と呼ばれるようになったそうな。

玉藻前は美貌がずば抜けていたばかりか博識で、鳥羽上皇の考えにだいぶ影響を与えておったそうな。当然、周囲はそのような女の存在は快く思わない。それでも、上皇の寵姫を無碍に扱うわけにもいかぬもの。玉藻前は上皇を意のままにしていた……。が、上皇がだんだんと病に伏せる日が多くなり、宮廷の医者も外から呼んだ名医もまるで原因が分からない。

しかし、当時の陰陽師・安倍泰成が、上皇の病が玉藻前によるものと気付き真言を唱えると、玉藻前は術が解けて美女の姿からあっという間に狐の姿に戻ってしまったそうじゃ。

キュウコン

これはポケモンgoのキュウコンじゃ!

(御伽草子の挿絵では狐の尻尾は二股となっておるそうな)狐は、捕らえられる前に宮中から脱走し行方をくらましてしまった。

その後、宮中では何事もなかったが、那須野(現在の栃木県那須郡)で怪異や人が行方不明になるなどが続き、その噂は宮廷にも届いた。それを狐の仕業とみた鳥羽上皇は、陰陽師の安倍泰成や信頼する部下を討伐隊として那須野に送り込んだそうじゃ。

狐も手強く、妖術にかかり討伐隊の多くが命を落とすこととなった。また一波乱あって、なんとか狐を仕留めることができた。

息絶えた妖狐は石の姿と化した。しかしその石は毒を出し、近づく人間や獣が息絶えてしまうので、人々はその石を『殺生石』と名付けた。

鳥羽上皇の死後も殺生石は近づく者の命を奪い続け、妖狐の鎮魂を試みた高僧達も皆、殺生石の毒気にやられてしまった。

時は流れて南北朝の時代を迎え、会津から訪れた『玄翁和尚』がついに殺生石を打ち砕いた。その破片は日本各地に飛散したものの、大元の石は那須野の地に残り、その毒気は封印されたそうな。

■殺生石の毒気とは?

さて、殺生石の真実とは?つまらない結論であるが「殺生石に近付いた人間や獣が皆死んだ」のは、殺生石のある山が火山であり火山ガスが吹き溜まっていたから、というのが科学的な説明となるようじゃ。

能の『殺生石』では、高僧である玄翁があるとき、山を飛ぶ鳥が落ちるのを見て異変に気付いたとされておる。「飛んでいる鳥が落ちる」のはまさしく火山ガスじゃな。

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しかし、挿絵では二股の尾ではあっても伝説では九尾となっているこの妖狐の伝説には、やはり現代的な、科学的な説明がつかない不可思議な話がまだあるのじゃ。

続く。

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