ネットでは女性ライターが書く「ケチな男の特徴○選」「私がドン引きしたデートでの彼の行動」なんて記事で頻繁にやり玉に挙がる「デートで行った店で領収証をもらう」という男の行為。
リアルで接する女性からも、たまに「気になってる会社の上司が食事をおごってくれたけど、領収証をもらっていてがっかり」と聞くことがある。
これは、最初にある女性からその心情を吐露されたときには僕自身が大ショックだったし、仲のいい男連中も、同じことを言われたり、こういった考えの女性が世の中に大勢いると知って、とても反論したがっていた。
だから、今回ばかりは女性の恋に役立つ話をするというコンセプトをちょっとだけ離れて、デートで領収証をもらったことのある男として、そしてそれが決して愛がない行為だとは思っていない世の多くの男の代弁者として……。
なんて偉そうだけど、本音の本音として「言われっぱなしでは悔しい」から、この場を借りて反論させてほしい。
■「割り勘はありえない」女性の意見には同意する
女性が男性と食事に行ったとき、もっとも嫌う行為は「割り勘にする」「1000円でいいよ、と一部払わせておごったつもりでいる」らしいけど、これは、僕は当然だと思っている。
地球上に存在するほとんどの生き物の求愛行動では、オスがメスの気を引くために、なんらかのアクションをする。生存能力の高さを示すために、あるものは巣を作り、あるものはダンスを踊り、あるものは餌をプレゼントする。
人間の男と女も、この生物の普遍的な法則に則って進化してきたわけだ。
女性は妊娠・出産・育児という、男に比べると「自分で餌をとれない、とるとしても身体的負荷が多く苦労する」期間を抱えている。
最低限でもその期間を生き延びるために、代わりに餌を取ってくる、母子が外的に襲われず暮らせる安全な巣を用意できる能力のある男を選別しなければならない。
だから、女性が割り勘男よりもおごってくれる男を高く評価するのは、生存本能に根付いた行動で、当たり前だと思う。
■「会社の金」でも「おごる」事実は変わりない
そして、最近の20代や氷河期以降(僕も氷河期世代だけど)の男には割り勘派が多く、女性も割り勘を許容する人が多くなったのは知っている。
それでも、片想いの女性とうまいこと2人で飲みに行けることになったり、交際中の彼女とのデートでは、やはり自分が食事代を全額払いたい「おごっていいところを見せたい」と思うし実行している男も多い。
ただ、そこでせっかくおごったにも関わらず、
「領収証をもらう」=「自腹ではなく会社の金を使う」
のが、多くの女性は許せないわけだよね。
男側としては、正直なところ、
「金の出処はともかくとして、おごったのに何が不満なんだ?」
しかない(苦笑)
領収証をもらう=会社の金=私に「自分のお金」を使ってくれない!=愛されてない
という図式なのは、よく分かる。あるいは、「こいつ、会社のお金を使い込んでるんじゃない?」と、モラルを疑うこともあるだろう。
だけど、ここでそう考える女性に、知ってほしいことが3つある。
■「領収書をもらう」のは、彼にその正当な理由があるから
会社は無限にお金が引き出せるATMじゃない。領収書をもらった男は、その領収書を毎月まとめて経理に提出して、承認をもらう。そのとき、あまりにも不自然な出費であれば、いろいろと聞かれて、自分の身が危うくなる。
だから、どんな店でもどんなときでも、彼女とのデートや気になる女性を誘った食事で領収証を切っているような男は、確かに信用できない。愛する女性との食事を「取引先の○○社の部長との会食」と報告する男は、早晩なんらかの使い込みやら不正で、その会社にいられなくなるだろう。
だけど、ある店で「彼女と食事をした」と報告しても、それが経費として認められる場合がある。そういう小さな「役得」をもっている会社員は、実はけっこう大勢いる。
それは、飲食をした店が「その会社の顧客や取引先」の場合。そして「リサーチ目的」「福利厚生」に当てはまる場合。
例えば、飲食店の販促を請け負っている会社の彼なら、自分がコンサルティングをしているレストランで飲食をするのは、誰を同伴していたとしても、そこで使ったお金は顧客の売上への貢献になる。
あるいは、その顧客の店の「ライバル店」に客として訪れて、後日「先日、おたくのライバルの○○○に行ったんですけどね……」と、顧客利益になる報告ができるなら、それは「リサーチ目的」として仕事の一環として経費になる場合がある。
あるいは、近いうちに彼は取引先の偉い人を接待することになっていて、その店選びのリサーチとして、彼女と接待で使う候補の店に行く、なんてこともある。
あとは、彼の会社の福利厚生で、その店での飲食には補助が出る場合もある。
ほかにも、いろいろな理由が考えられるけど、領収証をもらう彼は、決して会社を欺いているわけではないんだと思う。
■領収書をもらう=経費が使える安定した会社に勤めている証明。あるいは自営業、社長の「会社やってます」アピール
そして「領収書をもらう」行為は、これは女性にはあまり理解されないことが多いけど、ブラック企業も増えた今時では「経費を使えるような、安定した会社に勤めてる」証明でもある。
まあ、そんなやつはあんまりいないだろうけど、領収書の宛名を「上様」ではなく有名企業の会社名を言うたびに「今時、太っ腹ないい会社にいる恵まれた俺」を、彼が実感していないとも限らない(苦笑)
あとは、最近は会社を辞めて独立する人も多くなったけど、独立して1人で仕事をしていたり会社をやってる彼だったら「会社の経費で落とすから」なんてセリフもふだんから当たり前のように使っているだろう。
さらにいえば、逆効果になってるとは知らず「俺、社長だから会社の金を自由にできるんだ。すごいだろう?惚れるだろう?」なんて、小さなアピールかもしれないよ。
■金銭的に余裕はないけれど、愛する彼女におごりたい・心理的な負担をかけたくない
そして、何よりこれが一番だと思うんだけど、今時は会社員だろうが自営業だろうが、みんな、そこまで自由になるお金がない。
お金に余裕はないけど、愛する彼女の前ではいい格好がしたい。とにかく割り勘を申し出るのだけは避けたい。けれど、自分の分も彼女の分も、全額おごるとなると、自腹ではたいした店に行けない。
でも「そうだ、俺の顧客に○○○ダイニングの内装を手がける会社があって、赤坂の新店はあそこの仕事だ。よし、実地調査したことにしよう」なんて頭をひねって、「金はないけどおごれる(ただし会社の金で)」を実現するんだ。
最後にもう1つ。
これは、彼女や食事に誘った女性がとても気立てが良くて、支払いのときにお財布を出して「払います」と本気で言ってくれる女性の彼に多いんだけどね。
「もらった領収証は、実は経費にできなくて後で捨ててる。彼女、僕があまりお金ないの知ってるから、自腹だと分かると遠慮しちゃって、絶対に半分出すっていい出すから」
愛する女性に「彼のなけなしのお小遣いからおごってもらってる」罪悪感をもたせないために、優しいウソをついていることもある。
彼の仕事とまったく関係のない、女性が行きたがっていたお店に行ったときなんか、きっとこのパターンじゃないかな。
そういうわけで、もしほんの少しでも納得する部分があったなら、今度からどうか、領収書をもらう男を優しい目で見てやってほしい……。
君がもし、会社の経理担当でなければ、だけどね(笑)