「会社で慕ってくれてる新卒に、冬のボーナスの使い道を『通夜にはグレーのスーツ、告別式には喪服を社会人なら揃えとかなきゃだぞ』なんてアドバイスしちまった。そいつ、その日のうちにスーツ専門店でグレースーツと喪服、数珠や薄墨ペンまで揃えたって。『よし、これで俺の葬式で恥を欠かせないで済むな』『死ぬ予定あるんすか 笑』なんて変な会話をしてしまった」
「飲み会の集合写真を同僚が『これじゃSNSにアップできない』と個別に送ってきた。みんな普通に映ってるのに、俺の顔の上だけ赤い光が横切ってた。ごくふつうのスマホカメラで撮ったのに」
「ベランダで洗濯物を干してたら、真正面にカラスが降りてきて『カッ』と一鳴きだけして飛び去った。これが一番、怖かった」
これらが死の約1週間前から立て続けに起きていたそうじゃ。どれも、一つや二つならばただの出来事であるが、これほど重なるとやはり予兆だったのやもしれぬのう。
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夏の余興記事★真夏の怪談シリーズ
芦屋道顕の真夏の怪談
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