【最終回】ライター室屋の「○○男とデートに行きます」第14回 本当に好きな男

【最終回】ライター室屋の「○○男とデートに行きます」第14回 本当に好きな男

身近にいる男性を誘ってデートに慣れよう!という荒療治デート支援コラム。
連載最後にお届けするデートとは・・・?

第14回 本当に好きな男

とうとうこのデートコラムも最終回。
今までさまざまなイケメン男、またはどうしようもなく扱いにくい男を紹介してきた。
最後にご紹介するのは、「本当に好きな男」である。

本当に好きな男とは、文字通りあなたにとっていちばん大切な、心から好きな男性を指す。

私の友人の母親の娘の、その友人の話をしよう。仮にAとする。
かつてAは身を焦がすような恋をしていた。お相手は職場の男・B。
一度はBに告白をしたAだが、フラれてしまっていた。
Bにはすごく美人の彼女がいて、ふたりは秘密裏にお付き合いをしていたのだった。

幸せそうなふたりを見ていたA。毎日がとても辛かった。
どうせ自分の恋は叶わないのだから、あちこちに暴露をしてやろうか。
それともいっそ、彼女に嫌がらせでもしてやろうか。
こうなったら「二番目でもいいから私と・・」と彼に言ってやろうか。
そんなことを思っていたようだ。

秘密裏に目配せするふたりを見るのは、針のむしろに座っている心地だった。
性格のいい男・Bは決して自分に冷たく振舞うことはなかったし、その彼女も本当に優しい人でAにはよくしてくれたが、それがかえってAを苦しめた。
Aは半ば自暴自棄になり、好きでもない男と夜な夜な遊びに繰り出すようになった。

そんな折。
社内の仲のいいグループ同士でホームパーティーをすることになった。
BやBの彼女も来るとのことで、一度は誘いを断ろうかと思ったAも、なんだかんだで参加する事になってしまった。

みんなで何か美味しいものを作って食べよう!ということになり、買い出しを任されてしまったAとB。近所のスーパーへと出かけて行く。
第14回 本当に好きな男

出典:GATAG|フリー素材集

Aはとても緊張した。何を話そう?何も話さないのも不自然だ。拙いながらも話をしていたが、なんだかうまくいかずギクシャクしてしまう。

しかしBは、買い物の間中ずっとAに優しかった。
その荷物俺が持つね。もう少し安い野菜にしちゃう?お肉は奮発しちゃおうか。
あれこれ話しかけては、ニッコリAに微笑みかける。
初めこそ緊張していたAも、次第に緊張がほぐれ、純粋に彼との買い物を楽しんだ。

あぁ――。なんだか夫婦で買い物してるみたい。幸せだ。
この人は本当に優しい。なんで、自分なんかに、こんなに気をかけてくれるのか。
今だけは。二人きり。今だけは、この人は、この時間は、私だけのものだ。

Aは笑いながら泣いていた。
なにか憑き物のようなものがストンと取れ、自分のお腹の中に落ちていった。
人生あとにも先にもこんなに楽しいデートはないだろう。
彼のことはこれからもずっと好きだ。でもそれは、恋ではなく・・。

Aはこの買い物をきっかけに、すっぱり彼のことを諦めた。
パーティーではBと彼女が仲睦まじく過ごしていたが、嫌な気持ちにはならなかった。
本当に彼には幸せになってほしい。そして私も、幸せにならなくちゃいけない。
そんな決意を固めたようだった。

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