あのときの彼女の表情の変化を、僕は一生忘れない。かっこいい男性との初デートを待ちわびる愛らしい少女は、次の瞬間・・・。
最悪な表現をしてしまうと、男だったら劣悪な風俗店でパネルマジックに引っかかり、現れたパネルの美女とは似ても似つかないクリチャーが現れたときの、あのショックと落胆の表情だ!(苦笑)
■服がダサいというだけで「再チャレンジ」の機会が奪われた
その日、そのあと何が起きたのかは実はあまりよく覚えていない(苦笑)ただ、この夜の彼女が、店でギャルソンスタイルの僕にはたっぷりと見せてくれた優しい笑顔を、一切見せることはなかったのは確かだ。
ビストロでは最初に僕が奮発して頼んだシャンパン・・・ではないただのスパークリングワインで(当時、さすがにそこまでお金持ちじゃなかったからね)乾杯をしたあとは僕が何を頼んでもいいよと言っても、何も頼まず「実は明日は朝が早い」と言って(事前には翌日は休みだと言っていたのに!)さっさと帰っていった。
そして、その後彼女はもう店には来なかったし、僕がどこかへ行こうというたび、彼女は忙しい、具合が悪い、挙げ句の果てには「母が具合が悪くて看病のため田舎に帰る」なんて怪しいことを言い出した。(苦笑)結局僕たちの関係は始まる前に終わってしまった。
■ブームはすぐに去るから取り入れるのが難しかった
でも、彼女は思いやりのある女性だったから、僕からのメールには何度かおざなりだけど返事をくれたし、その中で僕の私服のセンスについても率直に意見をくれた。「まだ、◯◯◯(僕の着ていったサルのマークのアパレルブランド)を着てるなんて、ちょっと驚いた。もともと、ああいうテイストは個人的にあまり趣味じゃない」だいたい、こんな内容だったかな。
これは、ファッションを覚えたての田舎者(僕のような)がやってしまいがちだけど、そのブランドのブームはその前の年がピークで、僕が喜び勇んで買いに行った頃には、最初にそのブームを巻き起こした人たちからはすでに流行遅れの扱いをされていたのだ。