【真夏の怪談】『保険証を探している』前の住人【芦屋道顕】

【真夏の怪談】『保険証を探している』前の住人【芦屋道顕】

蒸し暑い日々が続くのう。神隠しの記事でも話したが、【神隠し2023】時空の歪みが激化する昨今『神隠し』に要注意!神隠しに遭いやすい場所5選【芦屋道顕】昨今は異界との境界線が薄れている。今まで霊感などなかった人々も、異界からやってくるなにかと感知したり遭遇したり、不可思議な体験をするやもしれぬ、ご注意あれ。

では、今年も真夏の怪談シリーズじゃ!今回はとある女性に聞いた話じゃ。

結婚を控えた同棲開始は節約のためできるだけ家賃が安いアパートを探して引越し

まだ、私が彼と結婚する前、同棲を始めた時期のことです。結婚資金を一緒に貯めるためと、正直なところ2人とも収入が少なかったので同棲中はなるべく節約しようという意見が一致。一番高額な固定費となる家賃が安いところを探すことになりました。

2人とも実家は団地でお風呂なんてバランス釜だったので、本当にどんなボロアパートでも『愛があれば大丈夫!』と、若さも手伝って不動産屋さんにユニットバスでいい、キッチンは電気コンロ1つでも構わないなど話して、なるべく安い物件を紹介してもらおうとしました。

私はネットで希望する居住地の不動産屋さんを探していくつかピックアップしておいたのですが、当時の彼の親友が駅近なのにリノベーション住みで綺麗でとても安い物件に住んでいて、そのときにお世話になった不動産を紹介してもらえるとのことでした。私もまったく何の関わりもない不動産屋さんに飛び込むのは怖い気がしていたので、彼の考えに大賛成でした。

★事故物件で安かったのに告知義務に当たらない理由だったため告知されず

その不動産屋さんを訪れると、現れたのは彼とあまり年齢が変わらないくらいの、ごく普通の男性でした。希望条件やかなり低額の予算を伝えても嫌な顔もせず、とても条件に合う物件があるから今から行きましょう、とのこと。不動産会社の車に乗せてもらい、駅からは少し離れていて川が近いものの、価格は希望に合ったアパートに案内されました。

それはいかにもお金のない若い男女が同棲をするのにピッタリな(苦笑)ここに甘んじず、稼いでもっといい場所に引っ越そうと思える……。外観は安いなりの2階建てボロアパートな見た目でした。その1階でした。

ボロアパート

ところが、玄関を開けて中に入ると、床は張り替えたばかりらしくナチュラルな木目でワックスがかかってツヤツヤ。部屋の壁は優しいアイボリーでそれも傷やシミもなくピカピカ。窓やキッチン、ユニットバスはよく見ると継ぎ目などが黒ずんでいたものの、設備も全て新品。1DKでしたがダイニングとなる部屋が広く、窓は北向きでしたが申し分ありませんでした。

さらに不動産屋さんの男性曰く「上の階は誰も住んでいないので足音の心配もありません。両隣は若い学生さんが住んでいますが週に2-3回しか見かけなくて、音の苦情が出たこともありません。とても快適に暮らせると思いますよ」とのこと。

・・・ここで、そういった方面に詳しければピンと来たと思いますが、私達は本当に若くて頭の中がお花畑で、私なんて「彼との同棲がうまくいくように、神様が味方してくれてるんだー!」と、喜んでしまいました(苦笑)彼も、不動産屋さんが立ち去った後「夜中に声を出しても平気だね」なんて(苦笑)Hな冗談を言っていたほど。

ベッド

引越し後の賃貸で夜中に物音やものが動かされる怪現象が

私達はそれからまもなくその部屋に引越し、初めは平穏な日々を過ごしていたのですが、ある日から毎晩奇妙な出来事が起こり始めました。夜中になると、何者かが部屋の中を歩く音が聞こえてきたのです。

最初は壁が薄いので他の部屋の足音が響いてるのかなと思いました。また、日によっては自分達が昼の仕事で疲れ果ててぐっすり眠っていたり、夜に自分達がガタガタして(苦笑)それからぐっすり眠っていたりするのであまり気にしませんでした。

ですが、あるとき朝起きると、クローゼットの扉が開いていたり、ファンシーケースやテレビ台の引き出しが開いて中のものが外に出ていることがありました。そのときは彼とお互いに「あなたがやった?」「おまえじゃないの?」「夢遊病かよっ」「それはおまえだろ!」なんてやりとりをして、片付けて終わりました。でも、それがその日から何日も続き、さすがにお互い以外に疑うべき存在がいるなと思うようになりました。

夜中に物音がしたとき起きてクローゼットを見ると

そこで、2人で「夜中に何者かが来て、何かを探しているようだ。夜中に起きて確かめよう」と決めて、夜を待ちました。

すると、その日もやはり深夜にクローゼットの扉が開くカタンという音がしたので、電気は付けずに彼と2人で起き上がってそちらを見ました。すると、かなりはっきりとした比較的若い女の人の姿がそこにはあって、クローゼットの奥の床を覗いているようでした。

とても怖かったですが、彼が勇気を出して「すみません!なにしてるんですか!」と、その女の人に声をかけました。すると、その女の人はビクッとしたようで身体を縮こませたまま「すみません。私の保険証を探しているんです」と、身体は縮こませているのにはっきりとした声で答えました。

保険証を盗まれた前の住人の◯◯だった

幽霊

その女性はあまりにも姿も声もはっきりしているので、不法侵入して実際にそこにいるのかと勘違いするほどでした。賃貸の契約書やその他の事項の書類には、きちんと鍵は変えてあることが明記してありましたが「もしかして、鍵を変えてなかった?」と思うほどでした。

でも、次の瞬間その考えは消えました。女の人が「あの、あなた達は誰ですか?ユウトと、モエコはどこですか?」と、全く知らない2人の居所を訪ねたのです。彼と私で揃って「そんな人はここにはいない。前に住んでいたかもだけど、今はその人達はいなくて、私達が住んでいる」と答えました。すると……。

「へー。もう、ここにはいないんだぁ。・・・逃げたんだぁ」

と、それまでの怯えたような声とは全く違う、背筋がゾクっとするような怨念を感じる声で言いました。

そして、

「じゃあ、ここにはもう、用はないや」

と、ボソリと呟き、次の瞬間、姿が薄れて消えていきました。

翌日、不動産担当者に彼が電話で説明を求めました。すると、事情が大体分かりました。

二股をかけていた彼が保険証を盗んで逃げ、彼女はこの部屋で死んでいた

この部屋には以前、若い男性が住んでいた。時々、彼女らしき女性が訪ねてきていた。でも、その「女性」は2人いて、どうやら男性は二股をかけていた。あるときから、1人の女性が昼夜問わずアパートを訪れるようになり、さらには大家や周囲の住人に「男性に保険証を盗まれた」と訴えるようになった。大家が男性に連絡をすると「その女性はストーカーで、保険証のことなんて知らない」と言い張った。男性が保険証を盗んだ証拠はないので、大家はそれ以上何もできなかった。

その後、男性は荷物を残したままいなくなり、家賃滞納で行方を追ったところ、別の県にいることが判明。家賃を回収し、荷物は処分していいとのことだったものの、大家が高齢でしばらくそこまで手配が回らず、放置状態になっていた。

そして、ある日その部屋の隣の住人から「ものすごい臭いがする。人が死んでいるのでは」と連絡があり、大家が確認にいくと、いなくなった男性の部屋……。私達2人が借りた部屋で、「保険証を盗まれた」と訴えていた女性が死んで、死後1週間以上経って恐ろしい状態になっていたそうです。

ただ、検死の結果、自殺でも他殺でもなく、昨今だと『心臓突然死』と呼ばれるものだったため事件性なし、病死のため事故物件としての告知義務もなし、だったので私達には知らされなかったとのこと。

完全リノベーション済みだったのは臭いが染み付いてしまっていたので特殊清掃を行い部屋のものを全て入れ替えたから。周囲の住人がいなかったのは、夜中に毎晩のようにインターホンを押して『◯号室のユウトを見かけませんでしたか?』と訪ねてくる女性の幽霊がいて怖かったから、両隣に若い男性が住んでいるというのは不動産屋の嘘でした。

私達は平謝りに謝られ、別の問題のない物件を敷金礼金なし、家賃もその物件と同額で借りられることになったので、それで丸くおさめることにしました。(彼との結婚のほうが大事だったのでゴネてる場合じゃなかったので)

あとで分かったことですが、その女性の保険証を盗んだ男性は、もう1人の彼女が妊娠したので堕ろさせるために病院に連れていくのに、彼女が自分の保険証を使って自分の履歴に残ることを嫌がっていたので『保険証は別のを用意するから、病院行こう』と説得したのだそうです。

・・・私達は怖い思いをしましたが、心情的にはあの女性の幽霊には是非、そのユウトなるクズ男を見つけ出して呪い殺せるよう応援しています(苦笑)

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