また、そのような極端な夢はあまり見ぬが、ときどき耳にするのは「夢の中で食事を楽しみにしているが、邪魔が入って食べられない」「誰かと飯屋を探しているが、一向にたどり着かない」「どこかに閉じ込められて、食事を取れず空腹や渇きを感じている」「砂漠や遭難した山、海の上の小舟で飢え渇いている」などがある。
これらは少々厄介で、一度の夢での消耗やその悪夢度合いが小さいからこそ見逃している間に、魔物は少しずつ吸い取る気の量を増やしていく。この魔物は元は人間で、不平不満や妬み嫉みの念に囚われて魂の境涯が魔物にまで堕ち、自分より少しでも幸せそうな人間を見ると妬み嫌がらせに取り憑く小物である。こやつらは人が集まり楽しく食事をする様子を家や店の外から眺め目をつけて、夜道でひょいと取り憑くのじゃ。
こやつらに憑かれると「人と会うのが億劫になる」「外に出るのが億劫になる」が、それとときを同じくして、先に挙げたように、夢の中で食事にありつけぬようになる。それを目覚めても覚えているのは、覚えておかせることで夢の中での徒労の疲れを現実のものと錯覚させるためじゃ。
こやつらを撃退するには、これまた気力がいるゆえにぐったりしているときには難しいであろうが、とにかく外に出る、楽しく過ごせる友人や家族、いればもちろん恋人と会う、そしてご馳走を楽しむことじゃ。最初は妬み嫌がらせをしていたこの魔物は、元が人間であるゆえ取り憑いた相手がリア充を満喫していれば、やがては勝手に去る。楽しそうなSNS投稿を妬んでウォッチしていた輩が、あまり相手が楽しそうでいれば、ウォッチすることすら辛くなり去っていくようなものじゃ。
2. 夢の中で必死に働いていて、目が覚めたら本当に働いていたかのごとく疲れている
これは仕事に追われているときにもよく見る夢であるが、仕事に行く気力すらないときに、せっかく寝ても仕事の夢を見て疲弊する、という経験をしている人も多いようじゃな。あまりにも「仕事に行けない」つまりは生活に支障をきたすほどでは西洋医学の病名がつくやも知れず、そちらを考えるのが常識であろう。