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共働き家庭によくある問題として「家事の分担」が挙げられます。この共働き家庭での家事の分担の問題は非常に根が深く、最悪の場合、離婚にまで至るケースも。しかもこの問題の難しいところは、「妻の問題意識の高さに比べて夫の捉え方が非常に軽いこと」でしょう。さらにこの夫の捉え方の軽い理由の根底に、日本の今までの風習、例えば「男子厨房に入るべからず」的なものが影響しているのですから、本当に難しい問題だと思います。ここではこの難しい共働き家庭での家事の分担問題の解決策をご紹介します。
共働き結婚で大切なことは、日常の家事での支え合い
改めての話にはなりますが、恋愛と結婚の一番の違いは、これに尽きる気がします。恋愛期間中は「“好き”の気持ち」だけで、全てを乗り越えられるかもしれません。しかし結婚となれば、極端な話、配偶者に何かがあったとき、あなた自身がその責任の全てを負うことになります。
少し話が重くなりましたが、結婚とは、何があっても相手と支え合う自信があるかどうか、そしてあなたと同じくらい「“支え合う”気持ち」が相手にもあるのかどうか、この2点が非常に重要です。
きっとそれに対し、特に夫は「もちろんそう思っているから結婚をした」と答えるでしょう。しかしこの時、夫の頭の中で思っている“支え合い”とは、大抵の場合「“働いて報酬を得ること”で相手を支える」ことです。もしかすると「妻が病気になったら、“支え合いの精神”で手助けをする」レベルのことは考えているかもしれません。しかし、これが「日常生活での家事」に対して、支え合うことを考えているのかどうかと言えば、非常に怪しいです。
共働きの妻に必要なのは、夫に家事の本質を伝えること
新婚の間は恋愛の延長ですから、たとえ共働きの中、家事をすべて行なっていても、特に不満はないでしょう。しかし新婚時代を過ぎてからが問題で、例えば正社員の共働きの場合、妻が残業することは当然あると思います。もし残業が続き疲れた中、通常通り家事をしていたら、「こんなときくらい、共働きなんだから家事を代わってくれてもいいのに」と思うのはごく自然なことです。
このちょっとした妻の不満を汲み取ることが不得手なのは、往々にして夫。一方、不満を察するのは当然と考えて、夫が言ってくるまで我慢をするのが妻になります。つまり察することができない夫とギリギリまで我慢する妻の共働き家庭が、うまくいく筈はありません。
大抵の場合、我慢の限界まできた共働きの妻が夫に不満を爆発させるでしょう。しかしその時夫は、「言ってくれなきゃ分かるはずがない」と事の深刻さに気づかずサラッと受け流します。その態度に妻は更に怒りを覚え、最悪の場合、離婚に至るわけです。
こうなることを未然に防ぐ方法は次の通りになります。まずしっかりと話し合いましょう。ただ男性とは女性の話を聞くのが苦手なものです。その一番の理由は、女性の話が長いから。なのでこの時妻がすべきことは、事前に話すことをまとめる、あるいは端的に伝えることに注意を払います。
また男性とは、物事を「単体」でみて、「一連の流れ」として捉えるのが苦手。ですから多くの夫にあることとして挙げられるのが次の事例です。例えば「食事の配膳」を夫に頼んだとします。夫にとっては、「食事の配膳」はおそらく、「食卓の夫婦が座る所定の場所に食事を運ぶこと“まで”」でしょう。
一方、大抵の妻にとって「食事の配膳」とは、「食器を置く前の机拭きから始まり、食べ終わった後の食器を炊事場に運んで机を拭く前後も含めて配膳」になるのではないでしょうか。つまり妻は、この「家事とは前後の行動を含めた一連の流れで初めて家事となる」という認識を夫に植え付ける必要があるのです。そしてこの癖付けをするか否かで、(大抵の場合妻側にある)共働き家庭の家事への不満が軽減されます。
共働きの家事は誰のためでもなく、家族みんなのためのもの
上記以外に共働き家庭で家事をうまく回していくために絶対に伝えておくべきことがあります。それは「家事は誰のためのものでもなく、みんなのためのこと」だということ。つまり共に働きながら生活しているわけですから、妻が一人で家事を負担するのはおかしいと認識させるのです。
おそらくその意識付けをするまで、かなりの時間がかかると思います。まずは最低限、共働きである以上、家事に全く関わらないことだけはさせないでください。
容易に想像がつくとは思いますが、もし妊娠をしたとき、家事が全くできない夫だと、妻はたとえその時は共働きの状態ではないとしても、自分の体調を押して家事をしなければならないという悲惨なことになります。またもし親の介護をせざるを得なくなると、家事は二の次三の次になるでしょう。またそのときは共働きの状態である可能性は高いと思います。しかし家事を負担して貰おうにも、普段から夫に家事の癖付けをしていないと、妻の負担は増える一方です。
この状況を作らせないためにも、まずは「(特に共働きの場合は)家事は家族みんなのものだから、全員で負担するもの」と理解させます。そのうえで「家事とは前後の行動を含めた一連の流れで初めて家事となる」ことを意識させます。具体的には、例えば「ゴミ捨てとは“ゴミを収集場に持って行くのが家事”の全てではなく、ごみ収集場に持って行く前の【家のゴミ袋の集めるところから始まり、締めのゴミ袋のセッティングまでを行なうことで始めて、“ゴミ捨て”という家事】になる」ことを認識させるしか方法はありません。
共働き家庭での家事に対する男性と女性の考え方の違い
この話題は、生物学的な内容になってしまいますが、この特に共働き家庭においての家事に対する捉え方は夫が悪いのでも、妻が細かいのでもありません。つまり、男性と女性では体のつくりが異なるように、男性と女性では考え方が異なるので、このような違いがあっても仕方がないことなのです。
例えば、女性の体は「子どもを産み育てる」ように構造上なっています。つまり、まず子供を産む前に、まず自分のおなかの中で胎児を養育。その後、胎児がおなかから出てきて“産んだ”ということになりますが、その新生児を育てなければなりません。このように女性には「産む」という行為の前後に、一連の流れがあることを認識するよう体の構造上からできています。
それに対して男性は、妊娠も出産も(特に新生児から乳児の間は)子育ても関わることができません。つまり女性とは逆に、物事を一連の流れとして捉えるよう、体の構造上、できていないのです。だから、家事に対しても、特にたいていの妻は体の構造上「流れ」として物事を捉える傾向があるだけではなく、家事が生活の一部と化しているから、家事を前後を踏まえた流れとして捉えることができているわけです。
一方夫は、体の構造はもちろん、多くの夫が家事が生活の一部になっていないから、例えば「ゴミを捨てる」家事の場合、「【ゴミを捨てる前まで準備された】ゴミ袋を【所定の場所に捨てるだけ】で終わり」という認識になるわけです。
共働き家庭の家事は、家族の協力があって成り立つもの
「特に共働き家庭では、家事は手が空いている者が協力し合ってするべきもの」という考え方を家族に持たせなければ、一番大変な思いをするのは妻です。家族のだれからも手伝ってもらえず、たとえ体調不良でも家事をするなんて、本当にあり得ません。それが共働きであれば、なおさらのことです。
一つ屋根の下同じ空間を共に過ごしている以上、家事は平等であることは当然のこと。ましてや共働き家庭の場合、それはなおさらのこと。ですから例えばもし子供が生まれた場合、子どもが保育園に通うようになれば、給食当番などが保育園でも始まるでしょう。
つまり家でも保育園と同じように、家事を手伝ってもらうのです。男の子であれ、女の子であれ、先々独立したときに何もできないのことは本人にとっても非常に不幸なことになります。おそらくそんな世間一般の世の中の流れもあってか、最近では料理教室に行っても、ママと男の子の参加がクラスの半分近くあります。今は共働きは当たり前の社会。家事もみんなでお互いに支えあっていかなければ、日常生活に支障が生じるのは当然のことなのです。
最後に
「男子厨房に入るべからず」という言葉は、今となっては死語になってしまいました。しかも今の時代は、給料がなかなか上がらない時代。だからこそ、共働き家庭は増える一方なのです。そのため、男性といえども自炊ができないと、特に一人暮らしの場合、お金を貯めることが難しいと思います。「イクメン」がもはや一般語として定着しているように、これからますます夫はかつて妻のものとされていた家事の世界に関わらなければならなくなることでしょう。
それと同時に、家事に関われない夫は、特に共働きの場合、将来的には淘汰されてしまうのではないでしょうか。妻は共働きで疲れている中、家事を教えるのは大変だと思います。ただ、将来的に楽になれると信じて、特に共働き家庭は、男性の「カジメン」化に頑張って励みましょう。