【真夏の怪談】ある男の突然死の前に起きた幾つもの怪異
夏の余興記事★真夏の怪談シリーズ
芦屋道顕の真夏の怪談
もう数年前になるが、地元の友達が彼女と同棲するために、安いがなるべく条件の良い部屋を探しておったのじゃ。霊感もなく幽霊など信じていない2人だったゆえ、ちょうど見つかった「告知事項あり」の物件に興味を持った。不動産会社は地元密着で彼の父親とも知り合いだったゆえ、きちんと告知事項の詳細を話してくれたそうじゃ。
『前の住人は一人暮らしの40代男性。2DKのダイニングで倒れていた。検死によると、死因はくも膜下出血。近くに住む弟が、兄の勤め先から「出勤していない」と連絡を受けて訪れたところ、インターホンで応答がなかったため合鍵で入る。
発見した時にはすでに明らかに亡くなっていたが幸い冬で寒い時期だったため損傷は酷くなかった。特殊清掃の必要もなく、クリーニングで完全に問題なくすぐにでも住める状態。
男は家族によってきちんと葬儀をあげられていて、遺品の整理は仲の良かった弟が行った。クリーニングの前に、念のため不動産会社が世話になっているお寺の住職を呼んでお経もあげてもらった』
これはつまり、昨今ではあまり珍しくもなくなってしまった孤独死……。