幽霊の目撃談があったが、時間がかなり経過した今では、ずいぶん減っているはずじゃ。実は一度に大勢の死者が出るとき、それは「天の計画」ゆえのことがある。(このあたり、この言葉だけ捉えられると誤解も生じよう。真実の扉で話すべきであろうな)
それゆえ、死者の霊魂が彷徨う間もなく「出発しますよ!さあ、こっち!」とあの世への団体旅行のガイド役が天からやってきて、誘導されてしまうのじゃ。
しかも、己一人ではなく大勢がそこにいてそのガイドにゾロゾロと着いてゆくゆえ、生前は単独行動かつ頑固者だった者の魂ですら、死のショックと混乱の中ではとりあえず皆と同じ行動を取ってしまうゆえ、いわゆる成仏(仏にはならぬが)してしまうのじゃ。
さまざまな理由で死者の無念の想いは多少残っても、それは月日の経過により薄れやがては消えてゆく。なぜならば、この世に怨念やその大元となる霊がしがみつき続けるためには執着する対象が必要じゃが、天災や戦争では恨み続ける対象が不明瞭だからなのじゃ。
その対象が「自然」だからと自然を恨み、氾濫した川や海に復讐してやろうと思う人間はなかなかおらぬもの。また、戦争も戦場にて一対一で卑怯な殺され方をしたならば相手を恨んでもいざ知らず、