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イスラエル・パレスチナの闘いが続く中『赤い雌牛が聖地に』
2023年10月7日、イスラエルとパレスチナの闘いが続く中で、『大問題』が起きていて、一部の海外メディアはそれをこぞって取り上げていた。
ユダヤ人が「赤い雌牛を聖地に連れてきた」と。
What these red cows from Texas have to do with war and peace in the Middle East
だけど、彼の地から遠く離れた日本では、ほとんどの人々が彼の地の宗教であるユダヤ教・イスラム教とは関わりがないなんのことやらさっぱり分からない人が多いと思うから説明しておくね。
ちなみに翻訳元の記事にも理由は書かれている。
“赤い雌牛はアメリカのテキサス州から連れて来られ、現在はイスラエル占領下の西岸地区の秘匿された場所で飼育されている。ある一部のユダヤ人とキリスト教徒は、これらの雌牛がかつてエルサレムに存在したユダヤ教の神殿の再建とメシアの到来に不可欠だと信じている”
“古代ローマ人がエルサレムの最後の神殿を破壊した。”
“それを再建するには、熱心な信者たちは、民数記に記されたこの言葉を根拠とする。「全く傷のない、キズのない赤い雌牛で、いまだに軛をかけられたことのないものをイスラエル人は供えなければならない」”
“彼らはこの供え物がなければ、神殿は再建できないと主張する。”
『赤い雌牛』の出現は一部のユダヤ教とキリスト教の終末預言と深く関わる
ユダヤ教の伝統によると、紀元前586年にバビロニア人によって第二神殿が破壊された後、再建されるべき第三神殿の出現が予言されている。その再建には、民数記19章に述べられている「完全無欠な赤い雌牛の灰」が必要不可欠とされている。
この「完全無欠な赤い雌牛」の灰を用いた浄化の儀式があれば、神殿の建設が可能になると考えられている。そのため、終末論者の一部は、赤い雌牛の出現を第三神殿再建とメシアの到来の前触れと捉える。
現代のユダヤ教指導者の多くは、第三神殿の再建を文字通りの解釈ではなく、精神的な解放や内面的な神殿建設と捉えているものの、やはり一部のキリスト教の預言運動家の中には、第三神殿の再建をキリストの再臨に先立つ出来事と解釈する人々もいて、赤い雌牛の出現はその前兆と見なされている。
『第三神殿』とは?
第三神殿とは、古代イスラエルの主要な宗教的中心地であったエルサレムにあった神殿のことを指す。建設は前6世紀頃、ペルシャ王ゼルバベルとヨシア祭司長の下で始まった。前515年に完成。ソロモン王による最初の神殿、バビロニア捕囚後に再建された第二神殿に続く、ユダヤ教の主要な礼拝場所であった。
広大な敷地に、聖所、祭壇、祭司の区画などがあり、年に三度の巡礼の際に多くのユダヤ人が訪れたものの、前66年から前73年のユダヤ人の反乱により、ローマ軍によって破壊された。
その後、ユダヤ教は神殿を中心とした宗教から、会堂を拠点とする宗教に移行。ユダヤ教にとって極めて重要な役割を果たした建造物で、その破壊は大きな影響を与えた。現在その一部が残る「嘆きの壁」は、ユダヤ教の聖地として知られている。
第三神殿が再建される場所は現在イスラム教の『金のドーム』がある。ということは?
第三神殿の建設場所については大きな問題がある。
伝統的には、第三神殿は第一次聖殿と第二聖殿が立っていた場所、現在のエルサレム旧市街のテンプル・マウント(神殿の丘)に建設されるべきとされている。
でも、そこには、イスラム教の重要な聖地であるドームオブザロック(岩のドーム)モスクとアル・アクサモスクが7世紀から建っている。
ユダヤ教徒にとってテンプル・マウントは最も神聖な場所。ただ、イスラム教徒にとっても3番目に重要な聖地。ここに第三神殿を建設するということは、イスラム教モスクを取り壊さなければならず、大規模な宗教間対立を招く可能性が極めて高くなる。
また、第三神殿の建設は政治的にも極めて困難となっている。テンプル・マウントを含むエルサレム旧市街はイスラエルによる占領地域で、国際社会から承認されていない。一方的な建設は国際法違反となる可能性がある。
・・・これは飽くまで噂だけど、今起きているイスラエル・パレスチナの闘いはイスラエル側が第三神殿再建を強行しようとしていることが本当の理由だとか……。
続く。