【真夏の怪談】前編:意地悪女と願いの叶う井戸【芦屋道顕】

【真夏の怪談】前編:意地悪女と願いの叶う井戸【芦屋道顕】

クラス換えがあって首謀者とは別のクラスとなったが、首謀者はその女子と同じクラスの女子を呼び出し取り巻きと共にその女子の根も葉もない悪い噂を吹き込み、無視させるように仕向けた。男子も巻き込み、もはや誰も彼女の味方をする者はいなかった。

クラス換えによって孤独から解放されると一縷の望みを抱いていた女子は、その甲斐もなく学年中から無視をされて絶望し、心を病んでいった。やがて不登校となり、10代の終わりには自殺をしてしまった。

遺書には虐めの首謀者だった女子の名と怨念に満ちた言葉が書き連ねられていたが、すでに卒業後であったことから学校時代の虐めとの因果関係が問われることもなかった。町では少しばかり噂になったが、皆が共犯のようなものでその話は静かに葬り去られてしまった。

虐めの首謀者だった女は自分がしたことなどすっかり忘れ、やがて町を出て結婚し子供が生まれた。会社でも母親グループでも、常に気に入らない誰かを排除することを繰り返し、本人は常に安泰だった。因果応報など存在しない、とその時点までの女の人生の順風満帆ぶりを知れば誰もが思ったであろう。

■何十年越しの因果応報

しかし、ついにそのような意地悪を重ねてきた女にも因果が巡るときがやってきた。町を出てから初めて、何十年ぶりに小学校時代の同級生で集まろうと、同窓会の知らせが届いたのだ。女にとっての小学校時代は、取り巻きに囲まれ自分が常に主役で楽しかった記憶しかない。幸いにも同窓会の日は予定がなく、子供もこのときはすでに手を離れていたため喜んで参加を決めた。当時の同級生とはすでに誰とも連絡を取っていなかったものの、久々に会えばまた話が弾み楽しい時間を過ごせると思っていた。

同窓会当日。女が故郷の小学校近くの会場となる店に着いたものの、店の前に良くある『◯◯小学校同窓会 御一行様』といった案内表示もなく、店の前にも店内にも、見覚えのある顔は一人もいなかった。場所を間違えたかと思った矢先。店の外から、

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