幽霊の経験談(2)【芦屋道顕】自分が死んだと自覚したとき起きた出来事の記憶

幽霊の経験談(2)【芦屋道顕】自分が死んだと自覚したとき起きた出来事の記憶

幽霊の経験談(2)自分が死んだと自覚したとき起きた出来事の記憶

(1)の続きからじゃ。愛する夫が資産家の令嬢に恋をし、邪魔者扱いされて殺され、令嬢の屋敷の裏にある林に埋められた女性の記憶の話。

前回はここまで話したが↓

『天国を信じていなかったから、意識がなくなったら完全に無になるのだと思っていた。だけど、いつまでたっても意識がなくならない。そして、気付くと息苦しさも、殴られた体の痛みも感じなくなっていた。どうしたんだろう?と思ったら、林の土の中に埋められていたはずの自分は、なぜか令嬢の屋敷の正面玄関の前に立っていた。自分でも、なぜなのか分からなかった』

(1)はこちらから↓
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今回は『埋められたはずが、令嬢の屋敷の前に立っていた』の続きじゃ。

■ものが掴めない。悪夢の中かと思った

『屋敷の前に立っている自分に気付いたときは、埋められたと思ったけど助かったのか、埋められたのが夢だったのか?と思った。夫に酷く殴りつけられたはずの身体が痛くないので、腫れ上がったはずのまぶたを触ってみようとしたら、触れなかった。自分の頭があるはずの場所に、手を伸ばしても触れられない。ただ、そのときは自分がやはり混乱しているからだと思った』

『とにかく、もう一度夫と話がしたいと思った。少し前に鳴らした正面玄関の呼び鈴に手をかけようとした。ところが、手が呼び鈴を素通りしてしまう。何度試しても、呼び鈴の手を掛ける部分を掴めない』

呼び鈴

『それで、もしかして私はまだ悪い夢を見ているのかもしれない、と思った。夢なら覚めなければ。だけど、どうやったら覚めるのか分からない。とにかく、この状況を誰かに訴えなければ。誰か、誰か、助けて!・・・私は叫んだ。叫んだつもりだけど、その声は自分の耳にも聞こえなかった』

■遠くに美しい光が見えた

『それでも、しばらく叫んでいたら、少し離れたところに光が現れた。まだ夜なのに、そこだけ本当にトンネルの先の光みたいに明るくて、でももっと明るくてなんて美しいんだろう、と思った』

幽霊の経験談(2)【芦屋道顕】自分が死んだと自覚したとき起きた出来事の記憶

『光は見つめていると、どんどん近付いてきた。自分の方が光に引き寄せられていたのかもしれない。このときのことは全部、ぼんやりしていたから、よくは分からないけど。でも、ふと気付いたらその光はもう目の前にあって、今にもそこに吸い込まれそうな気がした』

■まだ、この世に未練が。光は消えた

『でも、急に光の中に入るのが怖くなった。入ってしまったら、戻れなくなるんじゃないか』

『光に今にも触れそうになったとき、ふとそう思った。そして、光に向けて差し出していた手を引っ込めた。光はさっきより少し弱まったように見えた』

幽霊の経験談(2)【芦屋道顕】自分が死んだと自覚したとき起きた出来事の記憶

『そのとき、何か自分の中で理解できたことがあった。やはり、これは夢じゃない。私は家に帰ってこない夫を連れ戻すために、令嬢の屋敷にやってきた。中から出てきた良人に引きずられて裏に連れていかれ、殴られて気を失っているときに、もう一人の誰かと夫が私を林の土の下に埋めた。私は死んでしまったんだ』

『私を殺した夫と、私の夫を奪ったあの女を残して、ここを立ち去れない』

『そう思った瞬間、光は消えてしまった』

彼女は物心ついてからずっと、この内容を断片的に何度も何度も見てきたそうじゃ。少しずつ場面が変わり、内容が繋がり、この悪夢、単なる悪夢ではなく前世の記憶は、日常生活で記憶を喚起する出来事に遭遇するたび、鮮明にとはいかぬが思い出せることが増えていったそうな。幼稚園の遠足の芋掘りで、ショベルで土を掘ったときに遺体が埋まっているかもしれないと恐怖を抱いたのは、自身が殺されて埋められた前世があるからだったのじゃな。

埋められた

『・・・光が消えたとき、もし普通に幸せに寿命をまっとうしたり、病気や事故でやむおえない理由で死んだなら、天国への道が消えてしまったと怖くなったと思う。だけど、その女性だったときの私は、光が消えても自分がまだそこに立っていられたことにとても安堵した。あの世に無理やり連れて行かれず、この世に留まって復讐が果たせる、と思った』

続く。

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