世間から見れば申し分のないお嬢であり美人であっても三十路を過ぎるまで結婚できなかったある名家の娘と雛人形の因果の話はこちらから
愛しき人とどのような縁で結ばれているかは恋する乙女は皆気になるところであろう。「袖すり合うも多生の縁」なる言葉があるように、前世からの縁も魅力的であるが、それだけではない。
特に、日本人は先祖を大切にするが、それは道徳や宗教的な意味合いだけで、果たしてこれほど墓を大切にし盆の行事をし、事あるごとに仏壇に手を合わせられるものであろうか?
これは現代の仏教に照らせば邪道の考え方となろうが、実は長年の慣習というだけでなく先祖を敬うことで、現世利益が得られることを皆、表立っては口にしないが知っているからであろう。
そして、邪道とは言われるが子孫の繁栄を願いながらも、平和に旅立った先祖は、姿形はなくとも地上で己の子や孫を慈しんでいたときと同じく、子孫が望んでいるならば、できることであればしてやりたいと思うもの。
ゆえに、愛しき子孫が結婚したくてもできないと嘆いているならば、良き相手と出逢わせようともするのじゃ。
そして、祖先の導き良縁により引き合わされた2人の周りにはそれを示す「印(しるし)」が出る。
当然のことではあるが、