【真夏の怪談】顔がまるで思い出せない男【芦屋道顕】

【真夏の怪談】顔がまるで思い出せない男【芦屋道顕】

【真夏の怪談】顔がまるで思い出せない男

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■顔がまるで思い出せない男

★怪しい健康食品のセールスマンだった男

その男がいた会社は怪しげな健康食品を取り扱っていた。年寄りをターゲットに無料の説明会を開催し、無料につられてやってきた年寄りに高額の商品を売りつけ、クーリングオフができないようにあの手この手で言いくるめるのがその男の仕事だった。新卒であらゆる志望企業に落ち、唯一入れたのがその会社だった。

単発で購入した年寄りの家にも後で押しかけ、頼んでもいない商品をどんどん置いていく。ほかの営業マンは商品自体が怪しいことに気付きすぐに辞める者も多く、続けている者も他に仕事がないからとやむおえずで、断られたら比較的あっさり引き下がり、返品と返金を要求されたら応じていた。

しかし、その男は身寄りのない一人暮らしの年寄りばかりを狙い、半ば脅して商品を定期購入させていた。身長が180cmを越えた強面の男には怖くて逆らえない。男は何年も営業成績トップだった。

芦屋道顕

★会社の元同僚の集まりで

男は営業のやり口は悪辣だったものの

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