歓楽街に生きる男と女、それぞれに強い執着を抱く生者の念。
夫が飲み歩くのを我慢しつつ、家で長年恨みを放出し続ける妻の生霊、水商売の相手に貢いでいる彼や彼女を通り越し、相手のホステスやキャバ嬢や風俗嬢、ホストなどを無自覚に呪うている誰かの怨念。
ラブホテルなどに集うのは不倫や浮気に怒る誰かの念も、むしろ己がそのような禁断の快楽を味わいたいと願うている誰かの欲望も。
これらはすべて、実体を持った男女に取り憑き、その怨念や欲望を満たす機会を常にうかがっているのじゃ。
4.悪鬼
悪鬼は人の姿をしている。人間の親から生まれ義務教育も受け、どこかには住民票もあり、普通の人間とは寸分違わぬ「人間」の肉体と権利を持ち、恐らく消費税くらいは確実に税金も納めているであろう。しかし、中身は悪鬼なのじゃ。
良心を持った人間からすれば信じがたい極悪非道なことをする者に対して「あいつは人の皮をかぶった◯◯だ」などということがあるが、あながちただの悪口ではなく、このような存在が昔から知られていたからではなかろうか。
こやつらの中でも、魑魅魍魎と浮遊霊は心の境涯が低くなっているときに付け狙われやすい。悪霊が如く人を妬み恨み、あるいは怒りを抱えて心が負の感情に支配されている、あるいは暴力や卑劣な手段で己の制欲を満たそうとするなどをなんとも思わなくなっていると、相寄る魂の言葉通り、低い波動を放ち低い波動の存在を引き寄せてしまうのじゃ。
特に酒が入り理性が鈍っているときが危ない。普段は品行方正な人が酒に酔って驚くべき事件を起こしたとの話を見聞きするたび、この手の視えない厄介者に魅入られたのではと危惧してしまう。
事件事故を起こした人々は、