これからの季節に美味しくなる野菜の代表格・ゴーヤ。「苦瓜」という別名に相応しい独特の苦味が魅力のひとつで、チャンプルーなどの沖縄料理には欠かせない食材です。比較的最近まであまり一般的な食材ではなかったゴーヤですが、沖縄料理ブームや健康意識の高まりから今となっては全国的に親しまれている野菜です。
身体にいいと有名なゴーヤーですが、その栄養効果については意外と詳しく知らないで素よね。実はゴーヤはがんにも効果的といわれているのです!
意外と知らない、ゴーヤの歴史や栄養効果について詳しく解説していきます!
栄養成分たっぷりのゴーヤ!日本にはどうやって伝わってきた?
様々な健康への効能が期待できるとされるゴーヤ。美容や健康だけでなく、癌にも効果的との研究結果が発表されていますが、そんな効果・効能満点なゴーヤは日本にいつ頃伝わってきた野菜なのでしょうか?
栄養成分満点のゴーヤーは、インドなどのアジアの熱帯地域が原産とされています。14世紀頃に中国に伝わった後、日本に伝わってきました。
中国では実だけでなく花や根、種子まですべて生薬として利用されていました。喘息や皮膚疾患、腫瘍や高血圧、糖尿病などに有効とされ、漢方医療に欠かせない素材として珍重されていたのだそう。
原産とされるインドなどで食用に使われるようになった時期はよくわかっていませんが、インドに伝わる伝統医療でも実だけでなく葉や茎まで薬として利用されています。
日本にゴーヤが伝わってきたのは16世紀頃。1713年の「琉球国由来記」に苦瓜に関する記載があるそうで、その頃には既に沖縄(琉球王国)ではゴーヤが食べられていたと考えられます。当時は野菜、食材としてよりも生薬として利用される方がメインだったようです。また、栽培されていた地域は沖縄だけでなく、九州でもゴーヤの栽培は行われていたようです。
ゴーヤーといえば、あの独特な苦味。苦手な方もいれば「あの苦みが好き」という方もいるようですが、この苦味のもととなっている「モモルデシン」などの成分に健康効果があるのだそう。胃腸の活動の促進や抗酸化作用など、身体に嬉しい成分がたっぷりと含まれています。また、ビタミンCなどもたっぷりで美容にも効果的。糖尿病予防や肥満予防、更に癌の予防にも効果的とされる、スーパー野菜のゴーヤについてもっと詳しくお勉強していきましょう!
ゴーヤの栄養成分!詳しく教えて!
ゴーヤの栄養成分はあの“苦み”!自律神経を整える「モモルデシン」
ゴーヤーの苦味物質のひとつであるモモルデシン。苦手だという方も少なくありませんが、この成分は自律神経のバランスを整える働きが期待できるとして注目されています。
だるさや頭痛、めまい、吐き気などといった自律神経失調症の症状を緩和させる効果をはじめ、気温の気温差やストレス、睡眠不足などによって生じる自律神経の乱れを整える効果が期待できるとされています。
また、夏バテの緩和効果も期待できます。疲労感やだるさが抜けない、どんよりとした気持ちが治らないと感じている時に、気分をシャッキリとさせてストレスを緩和させてくれます。
ゴーヤにはビタミンCも豊富に含まれていますが、ビタミンCのストレス作用と合わせてストレスフルな生活を乗り切る手助けになると考えられます。
ゴーヤの栄養成分モモルデシンには血糖値の上昇を抑える効果も!
ゴーヤの苦味成分モモルデシンには、血糖の代謝促進作用を活発化させる効果も期待できると考えられています。
ゴーヤにはモモルデシンの他、チャランチンといった苦味成分もあります。こちらの成分にも膵臓を活性化する効果が期待できるので、血糖値の上昇を抑える働きが期待できます。
ただし、まだまだゴーヤの糖尿病予防に対する有益性は研究途中。人体実験で有益な結果が得られなかったことやゴーヤーの名産地である沖縄県の糖尿病死亡率が高いことなどもあり、明確な医学的根拠が示されているわけではありません。
ゴーヤが身体に良いことは確かですので、血糖値が気になる方は毎日の食事に、時々ゴーヤも取り入れてみる、ぐらいの気持ちで試してみるのが良いでしょう。
夏野菜ゴーヤの栄養成分は夏バテに効果的!
モモルデシンには消化液の分泌を促したり、胃腸の粘膜を保護する働きが期待できるとされています。これからの季節気になるのは夏バテ。夏バテしてしまうと食欲不振などの症状が気になるかと思いますが、ゴーヤを食べると食欲増進効果が期待でき、夏バテによる体力低下を予防することに繋がると考えられます。
更に、ゴーヤーにはビタミンCも豊富。疲労回復に効果を示し、更に夏場に汗などで失われやすいカリウムなども同時に摂取できます。夏野菜の代表格として知られるゴーヤは、体力が低下しやすい夏に食べる食材として非常に理にかなっているといえるでしょう。
ゴーヤの栄養成分はむくみ・便秘解消にも効果的!
ゴーヤーにはむくみの改善に効果も効果があるとされています。ゴーヤにはカリウムが100gあたり260mg含まれており、カリウム豊富なスイカの約2倍量が含まれているとされています。カリウムが豊富なので塩分過多によって溜め込まれた水分の排出を促してくれ、むくみを解消してくれるとされています。抗酸化作用もあるので、血流が改善されてさらにむくみ緩和に効果的です。
ゴーヤーには100gあたり2.6gの豊富な食物繊維も含んでいます。苦味成分モモルデシンも腸に刺激を与える効果が期待できるので、蠕動運動を促して便秘の改善に効果的。ゴーヤの食物繊維は不溶性食物繊維が多いので、便通改善や老廃物促進の効果が期待できます。水溶性食物繊維の働きで腸内環境の改善にも役立ってくれるので、スマートなスタイルをキープするのにも効果的な食材といえるでしょう。
ゴーヤの栄養効能はがんにも効く?話題の乾燥ゴーヤの効果とは
栄養豊富なゴーヤ!その効能は癌にも効く?
ゴーヤにはがんへの効果も期待できるという研究結果も出ています!
アメリカ・コロラド大学がん研究センターのラジェッシュ・アガーワル(Rajesh Agarwal)教授らが、ゴーヤーの抽出成分には乳がん細胞の増殖を抑制する働きがあると確認された血球結果を踏まえやうえで、研究を進めて、ゴーヤーには膵がん細胞に対し、そのエネルギーの源となるグルコース代謝能力を抑制して、がん細胞を死滅させる働きがあることを発見したのです。
マウスを用いての実験結果では、ゴーヤーの抽出液を摂取したマウスは摂取していないマウスと比較すると、がん細胞の代謝が低下したとされているのです。そして結果的に60%も膵がん細胞の増殖が抑制されていたとの研究結果も発表されています。
栄養満点のゴーヤ!癌への効能は乾燥ゴーヤの方が高い?
ゴーヤのがんへの効能を引き出すには、そのまま食べるよりもゴーヤを自然乾燥した「乾燥ゴーヤ」の方が、さらに栄養素の効果が高まるとされています。
さらに、生ゴーヤと乾燥ゴーヤの栄養素を比較すると、その他の栄養素の分量も濃縮されることで高まっているとされています。カルシウムが約15倍、ビタミンCが約10倍、そして鉄分に至っては30倍になるといわれているので、ゴーヤの栄養素をより引き出すには、乾燥ゴーヤがおすすめです。
栄養満点のゴーヤ!白ゴーヤは普通のゴーヤと栄養素に違いはあるの?
白ゴーヤの栄養素!普通のゴーヤとどう違う?
最近スーパーなどでも時々見かけるようになってきた、白いゴーヤ。白いゴーヤは苦みが少ないものが多く、生でも食べやすいということで人気ですが、白ゴーヤと緑ゴーヤの栄養価には違いはあるのでしょうか。
実は、白ゴーヤはまだあまり一般的に販売・生産されていないので、栄養価についてははっきりと研究されていないのが現状です。ゴーヤにはビタミンCやカリウム、食物繊維が多く含まれており、栄養満点の食材として知られています。ビタミンCには美肌効果があり、カリウムは体内から余分な塩分を排出してむくみを改善したり、血圧を下げたりといった効果が期待されています。食物繊維には便通の改善、腸内環境の改善などの効果が期待できます。以上のような緑ゴーヤの効果が、白ゴーヤにも期待できると考えられています。
白ゴーヤと緑ゴーヤの唯一の違いは、苦み。ゴーヤの苦みの元はモモルデシンと言う栄養素ですが、白ゴーヤは苦みが少ないため、モモルデシンの量は唯一少ないのではないかと考えられています。
モモルデシンには胃腸の調子を整える効果や血圧・血糖値を下げる効果が期待できる栄養素。白ゴーヤは苦みが少なく食べやすいのが特徴的ですが、モモルデシンの効果を狙うなら苦みのある緑ゴーヤを積極的に摂取する方がおすすめです。
食べやすくて栄養満点の白ゴーヤの種類は?
食べやすく栄養豊富な白ゴーヤにはいくつか種類があります。
まず代表的な白レイシと呼ばれるゴーヤですが、こちらは10cm~20cmと小型なのが特徴。やや大きめの純白ゴーヤは白レイシ以上に白く、苦みが少ないのが特徴です。
白大長ゴーヤは30cmを超えることもある大型の白ゴーヤです。さらに大きいのが白願寿ゴーヤ。700gを超える大型です。
少し変わっているのがアップルゴーヤ。丸くて大きい形状が特徴的です。
白ゴーヤの栄養を逃さないためにはどう食べればいい?
白ゴーヤは茹でると栄養が逃げてしまいやすいとよく言われます。でも、ゴーヤは下処理しないと苦くて食べられません。白ゴーヤは苦みが少ないとはいえ、生でで食べるなら茹でるのは必須。実は、白ゴーヤも緑ゴーヤも茹でることによって栄養素が消えることはありません。
ゴーヤに多く含まれているビタミンCは熱に強いですが、長時間炒めると栄養素が失われやすくなるので、強火でジャッと短時間で炒めれば苦みも抑えられ、ビタミンCも失われません。
白ゴーヤの栄養は妊婦さんにおすすめ?
妊婦さんは味覚が変わって、苦いものが急に好きになってしまう人も。そんな時には、ゴーヤがおすすめです。妊娠中必要になる栄養素といえば、葉酸。赤ちゃんの健康に必要な葉酸は、1日に480㎍程度と厚生労働省が推奨しています。
ゴーヤには、100gあたり72㎍葉酸が含まれています。ゴーヤ1本がだいたい250g程度なので、180㎍の葉酸を摂ることが可能です。
また、妊娠中は高血圧のリスクがあります。そんな時にもゴーヤがおすすめ。血液をサラサラにしてくれる効果もゴーヤには含まれているんです。むくみ防止や疲労回復など、妊婦さんに非常におすすめな栄養素が満点なんです!
栄養満点ゴーヤの効能を引き出すレシピ
ゴーヤの栄養レシピ①基本のゴーヤチャンプルー
ゴーヤといえば定番のゴーヤチャンプルー。基本の作り方をおさえて、おいしく食べましょう。
まず、ゴーヤは縦半分に切ってスプーンでワタとタネを取り除きましょう。苦みを極力抑えることができます。半分にしたゴーヤはボリュームを出すために斜めに切ります。
油をひいたフライパンを強火に熱したら、木綿豆腐を加えて焼き目をつけましょう。そこに、細切りにしたポークランチョンミートとゴーヤを加え、火が通ったらコンソメスープを加えます。
最後にツナと塩、溶き卵を入れ、軽く炒めたら完成です!
ゴーヤの栄養レシピ②ゴーヤジュースの効能とは?
ご紹介してきたようなゴーヤの栄養を濃縮して、簡単においしく摂れるとして高い効能が期待できるゴーヤジュース。甘みを加えることで摂取しやすくなるので、ゴーヤが苦手な人にもおすすめです。
まず、ゴーヤの種とワタを取り除き、1本の4分の1の量を粗みじん切りにしましょう。ミキサーに入れやすいサイズに細かくカットしたら、ミキサーにゴーヤとレモン汁、はちみつ大さじ2、水50mlを入れ、スイッチをオン。滑らかになったら完成です!
ゴーヤの栄養レシピ③ゴーヤとパプリカのマヨソテー
目にも鮮やかなゴーヤとパプリカをマヨネーズで炒めたソテーなら、子どもでもおいしく食べられます。
まず、ゴーヤはまるくリング状にカットして、スプーンで中身をすくい取り除きましょう。パプリカは3センチ幅にカットし、マヨネーズ大1をフライパンにいれて中火で熱します。温まったらゴーヤを入れ、しんなりするまで炒めます。パプリカも加えたら、軽く炒めて火を通します。
その中に汁気をきったツナを加えたらさっと炒め、残りのマヨネーズを加えてさっと炒め合わせます。味がなじんだら出来上がりです!
ゴーヤの栄養レシピ④がん予防の効能も!乾燥ゴーヤ
がんへの効能も高いとされる乾燥ゴーヤ。乾燥させることでゴーヤの効能がぎゅっと濃縮され、栄養がアップするのです。
まず、ゴーヤを乾燥させる前にさっと洗って、縦半分に切ってスプーンで種を取りのぞきましょう。キレイに取り除いたら、5㎜~7㎜の厚さにカットします。
薄切りにしたゴーヤをざるなどに、重ならないように並べたら、天日干しにします。半ば乾燥したら、裏返して両面をキレイに乾燥させましょう。
ゴーヤがカラカラに乾燥したら、保存用の袋や瓶に入れ、保存してください。
干す期間の目安は天気の良い日なら3日程度。カビの発生に気をつけて乾燥させてください。
乾燥ゴーヤのもどし方は、お湯や水につけるだけ。簡単に料理などに使えて、苦みも和らぐので、子どもがいるご家庭にもおすすめです。
最後に
栄養満点のゴーヤ。ゴーヤの栄養といえば、苦味成分のモモルデシンという成分です。モモルデシンは胃腸の粘膜を保護したり、血糖や高血圧の降下にも効果があるされています。
ビタミンやミネラル、食物繊維もバランスよくたっぷり含まれており、葉酸も豊富なので妊婦さんにもおすすめ。最近では、研究によってがん予防にも期待ができるとされています。
また、最近注目なのが白ゴーヤ。緑のゴーヤと栄養素が変わらず、苦みが少ないのでゴーヤが苦手な方にもおすすめです。
一点だけ注意が必要なのが、ゴーヤの苦み成分モモルデシンを摂りすぎてしまうと、お腹が緩くなってしまう可能性があること。特に妊婦さんにとっては、妊娠中にお腹の調子が悪くなってしまうと、お腹が張って切迫早産や流産につながってしまう危険性もあります。ゴーヤは食べすぎるとトイレが近くなり、胃腸が弱い人は下痢や胃痛につながってしまうことも。
栄養バランスも考えて、適切な分量のゴーヤを食べるようにしましょう。
ゴーヤは夏野菜なので、これからの季節はとてもおいしくなります。健康のためにも、栄養たっぷりのゴーヤを食べて健康的に暑い夏を乗り切るようにしましょうね!