「赤ちゃんは欲しいけど、陣痛の痛みに耐えられる自信がない…」とか「陣痛の痛みは“鼻からスイカ”と言われているけれど、本当?」など、出産の経験がない女性にとって、陣痛の痛みはなかなか想像しがたいものではないでしょうか。ここでは陣痛の痛みについて、私の経験も交えながら、お伝えしていきたいと思います。
陣痛の痛みは赤ちゃんの「今からママに会いに行くよ」の合図
陣痛の痛みの前に、そもそもなぜ陣痛の痛みがあるのでしょうか?子宮は、お産が近づくと、赤ちゃんを外に出すために収縮を始めます。
その子宮の収縮が「陣痛」です。子宮の収縮である「陣痛」にプラス、およそ3kgもある赤ちゃんを押し出すために子宮口が押し広げられるわけですから、痛くないはずがありません。
ただこの陣痛の痛み、人によって全然感想が異なります。つまり、大抵の方は「痛い、あるいは非常に痛い」と感じているのですが、中には「気が付いたら出産していた」と思っている方もいらっしゃるのです。
陣痛の痛みは十人十色
ちなみに、私の陣痛の痛みは、死後に悪人が落ちると言われている地獄の鬼が持っている大きな金棒で、力の限り鬼に腰を打たれているような痛みでした。正直、「鼻からスイカ」なんてかわいいものではない、「このままでは私は、腰が砕けて体が真っ二つになるのではないか」というくらいの激しい痛み。
一方、私の友人は、「陣痛は、生理痛をもっと強くしたような痛み」だったようで、私の陣痛の痛みに比べれば、ずっと軽い痛みだったようです。別の友人に至っては、トイレに行きたくなり助産師さんに伝えたところ、「頭が見えているからダメ」と言われそのまま出産。陣痛で「生理痛のような痛み」すら感じなかったようです。
以上のように、本当に陣痛の痛みは人それぞれ。ですから、「陣痛は痛い」と思い込まずに、気持ちを楽にして出産に臨んだ方がいいでしょう。
陣痛の痛みより痛かったのは…
上記の通り、私の場合、陣痛の痛みは「腰が砕けて、体が半分になる」と思ってしまうほど激しいものでした。しかも出産の痛みは、この陣痛の痛みにとどらなかったのです。そのあと私を待っていたのが「会陰切開の痛み」。一応、会陰切開を簡単に説明すると、「赤ちゃんを外に出すために、子宮口を切ること」です。こちらも陣痛の痛み同様、「陣痛の痛みがひどすぎて会陰切開の痛みが分からなかった」という方や「子宮がいつの間にか裂けてしまい、会陰切開をするまでもなかった」という方もいらっしゃり、まさに人それぞれ。
ただ私の場合は、「はい、切りますね~」と有無も言わさず、会陰切開されてしまいました。しかも私は、この子宮口を切られる痛みを陣痛の痛みとは別のものとして、しっかりと感じたのです。このときの私の会陰切開の痛みを陣痛の痛み同様例えるならば、「いきなり生身をキリで刺されて、そのまま皮膚の皮を剥がれている」ような感じでした。陣痛の痛みに加え、会陰切開の痛みで、本当に気がおかしくなりそうでした。
陣痛の痛みを乗り越えた後には
陣痛の痛みを始めとするさまざまな痛みは、数時間続きました。その後、無事出産。陣痛の痛みも会陰切開の痛みもなんとか乗り越えることができて、やれやれと思ったのもつかの間。その次に私を待っていたのが、「会陰切開の縫い合わせの痛み」でした。
これがまた痛い!正直、陣痛の痛みほどではないものの、出産後のヘトヘトの体に施すにはあまりにも酷でしょう、と思わず泣き言をいってしまいそうになるほどの痛みでした。
しかし私のそんな思いとは裏腹に、先生は「じゃあさっき切ったから、次は縫いますね~」としれっと仰います。そのとき私は一応、「え゛!!!」と反発してみました。しかしそんな私の“反抗”も空しく、麻酔の上、さっさと切ったところを縫われました。
こちらも陣痛の痛みと同じようにその痛みを例えるならば、「剥いだ皮を麻酔なしで、骨まで針を貫通させて縫い合わせているような痛み」でしょうか。つまり麻酔が全く効かなかったのです。この時ばかりはさすがに、「気を失うことができれば、どんなに楽だろう」と本気で思わずにはいられませんでした。
陣痛の痛みは必ず誰にでもあるわけではない
ここまで陣痛の痛みから始まってさまざまな痛みをご紹介しましたが、本当にこればかりは人それぞれ。ですから、必ずしも誰にでも陣痛の痛みも会陰切開の痛みもあるわけではありません。特に会陰切開はどちらかと言えば、しなくていい方のほうが多いかもしれません。つまりこれらの痛みに関しては、「こんな人もいるんだな」レベルの知識でいいと思います。
出産は今でこそ「無事で当然」みたいに思われているようですが、ほんの少し前までは「命がけ」のことでした。妊娠も出産もすべてが「奇跡の積み重ね」。陣痛の痛みも見方を変えれば、生命力の塊である赤ちゃんが、全身全霊の力を込めて胎内から出てきているわけですから、痛くて当然、と思えば、案外覚悟していたより痛くないかもしれませんよ。
最後に
出産は赤ちゃんとママが主役。どちらの力が欠けても、うまくいきません。上記の通り、私はどちらかと言えば陣痛の痛みがひどかったほうでした。ですから陣痛の痛みはもちろん、出産の大変さもよく分かっています。ただ陣痛の痛みは、別の言葉に変えれば「言葉を話せない赤ちゃんが、“痛み”という信号で「今からママに会いに行くよ」と力強く訴えかけていること」だと捉えれば、陣痛の痛みすら奇跡と考えて頑張れるのではないでしょうか。