2017年も残すところあとわずかとなりました。
年末年始は忘年会や新年会などでふだんよりお酒を飲む機会が増えて、体調が気になる方もいらっしゃるかもしれません。
飲む機会が多い時期の肝臓ケアに、二日酔いの対策にと、これまでは「ウコン」の入ったドリンクやウコンのサプリメントなどを取り入れてきたかたも多いと思います。
ところが2017年1月「ウコンの薬効は期待できない」という主旨のネットニュースが話題となりました。
■飲み会の救世主=ウコンは間違いだった?
アメリカ・ミネソタ大学ウォルターズ博士の研究チームが発表した論文”The Essential Medicinal Chemistry of Curcumin”によると、
「ウコンに含まれるクルクミンは不安定で科学的反応性が高く、体内に吸収されにくいため薬剤の開発に役立つ可能性は極めて少ない」
The Essential Medicinal Chemistry of Curcumin
とのこと。しかし、この論文でクルクミンの薬効が完全に否定されたわけではなく、この研究を行ったウォルターズ博士は「今後さらにクルクミンについて掘り下げた調査が必要」と述べているそうです。
出典:Forget what you’ve heard: Turmeric seems to have zero medicinal properties
この研究の今後については引き続き追いかけてみますが、2017年末の現段階では続報がないので、
ウコンの「クルクミン」以外で飲み会シーズンの肝臓のケアと二日酔い対策として話題の成分と製品をご紹介いたします。
肝臓ケア・二日酔い対策で話題の成分と製品2選は次のページから
肝臓ケア・二日酔い対策で話題の成分と製品2選
(1)Lシステイン/ハイチオールCプラス(エスエス製薬:第3類医薬品)
Lシステインといえば、CMのキャッチコピーなどで「シミを飲んで治す」成分として記憶されている方が多いかもしれません。
Lシステインは抗酸化作用を持つアミノ酸で、シミの原因となるメラニンの生成を抑えると共に、肌の代謝を助けターンオーバーを正常化して過剰なメラニンの排出を促します。
このLシステインが、実は二日酔いの症状にも効果を発揮します。
二日酔いの辛い症状である頭痛や全身倦怠感、吐き気などは、飲んだアルコールが肝臓で代謝されてできるアセトアルデヒドという有害物質よって引き起こされます。
Lシステインは、アセトアルデヒドを無毒な酢酸に分解するための分解酵素の働きを助けます。
ひいては、アセトアルデヒドが原因の辛い二日酔いの症状から早く解放されることになるのですね。
エスエス製薬のハイチオールCプラスの効能・効果にも、しみそばかすなどと並んで「全身倦怠」や「二日酔」も明記されています。
効能・効果
○ しみ・そばかす・日やけなどの色素沈着症
○ 全身倦怠
○ 二日酔
○ にきび、湿疹、じんましん、かぶれ、くすりまけ
製品の特長としても、
二日酔いの原因物質の分解をたすけ、二日酔いにも効果を発揮
と、明記されています。
(2)ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン/新ヘパリーゼ ドリンク(ゼリア新薬:第3類医薬品)
ヘパリーゼといえば「肝臓水解物」を前面に出した広告やCMを良く見かけるので、吸収しやすい必須アミノ酸で肝臓を養う、滋養強壮効果の高い栄養ドリンクのイメージが強いかもしれません。
肝臓水解物も肝臓の血流量の増加や肝臓の細胞の生まれ変わりを助けるなどの働きがあるのですが、このヘパリーゼに含まれている有効成分の中で注目したいのは
「ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン(Diisopropylamine dichloroacetate)」
というあまり日常的には耳にしない長い名前の成分。
ヘパリーゼドリンクの1瓶50ml中の各種有効成分の含有量
肝臓水解物200mg
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム200mg
ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン20mg
ゴミシエキス(ゴミシ300mgに相当)54mg
ジオウ乾燥エキス(ジオウ500mgに相当)100mg
引用元:ヘパリーゼとは?(ゼリア新薬)
慢性肝疾患の肝機能改善薬として、このジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンを主成分とした医療用製剤も存在しています。
医療用製剤のリバオール錠20mg(第一三共製薬)の作用と効果は以下のように説明されています。
肝臓の核酸合成を促進して障害を受けた肝臓を再生するためのDNA、蛋白質の増加を促進し、またその結果間接的に脂肪肝の生成を抑制することにより肝機能を改善します。
引用元:リバオール錠20mg
肝機能改善のための医療用製剤と同じ成分が入っていると思うと、肝臓を酷使する季節には頼もしい存在ですね。
余談ですが、私自身はほぼ下戸なので、お酒はビールのジョッキは飲み干せずグラスがせいぜい、アルコール度数の高いお酒を使ったカクテルも一杯が精一杯。
そんな少量のアルコールでも、何も対策をせずにうっかり飲んでしまうと、当日の夜から頭痛が始まりお風呂で温まると頭痛が激化し、翌日は二日酔いで半日ほどは具合が悪い状態になってしまっていました。
ですが、少し前にお酒を普段より多く飲んでしまった日、買っておいたヘパリーゼドリンク3本セットのうち1本をお酒より先に飲んでおいたところ、やはり多少酔いはしたものの、帰宅後お風呂に入っても、いつも飲みの後のようなきつい頭痛は出ませんでした。
さらに、念には念を入れようと寝る前に2本目を。翌朝、お酒を飲まなかった日と同じように、頭痛や倦怠感とは無縁で目が覚めてから、お酒の席があるときは事前に3本セットを用意するようにしています。
今後も、同様の商品で気になるものを見つけた際はまたご紹介していきたいと思います。
※いずれの商品も医薬品(第三類医薬品)です。購入時に不明点がありましたら、購入先ドラッグストアまたは薬局の薬剤師・登録販売者にご相談の上、ご購入を検討ください。
※第三類医薬品とは?:第1類医薬品・第2類医薬品以外の一般用医薬品。使用にあたって第1類・第2類に比較すると副作用等のリスクが低いが、日常生活に支障をきたす程度ではないものの身体の変調・不調が起こる恐れがある医薬品。
【その他参考資料/サイト等】
▶現場で使える 新人登録販売者便利帖 症状から選ぶOTC医薬品(仲宗根恵)
(文:SAE/登録販売者)
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