【芦屋道顕】夢で異界に迷い込んでいるサイン3選【現代の呪2】

起きている間は肉体と頭脳がきちんと己の魂を管理下に置いているゆえ、ふらふらと彷徨い出てどこかへ行ってしまう心配はほとんどない。時折、幽体離脱してこの世ならぬ場所を観てきた話も聞くが、幽体離脱をするときはやはり肉体が死に瀕しているがゆえ、魂を肉体に留め置くことができなくなっているのであるな。

しかし、寝ているときは別じゃ。肉体も頭脳も休み、それゆえに魂は自由にこの世以外の領域にも遊びにいくことができる。

通常は、寝ている間の魂は、あの世とはいえとても安全な、己の魂と己の守護霊が認証済みの専用のクラウドサーバーにアクセスをして、データのやりとりやらデフラクやらを行っている。それゆえ、起きたときには、この世では得られなかった貴重なデータをクラウドから受け取っていたり、悩みがすっきりと片付いていたりするのじゃ。

しかし、ときには魂があの世の安全な領域に繋がらず、まったく別の領域に繋がってしまうこともある。それは、何とも不気味な「夢」として目覚めてもその記憶が残っていることがあるのじゃな。

■夢で異界に迷い込んでいるサイン3選

夢で異界に迷い込んでしまうと、いわゆる「悪夢」を観ることが多い。魑魅魍魎が蠢く領域ゆえ、さまざまな良からぬものが魂を脅かす。

中でも、少々危険を伴う状況について3つ挙げておいたぞよ。

1. 夢の中で得体の知れない存在に、何かを食べさせられようとしている

これは冥界であれ魔界であれどこでも同じなのじゃが、異界で異界のものを食べると、こちらの世界に戻れなくなってしまうのじゃ。

日本昔ばなしや遠野物語などでは、狐や狸に化かされた昔の村人が宴席でご馳走をたらふく食べたはずが夢で、目覚めると腹には泥や木の枝、石が詰まっていたなどの伝承がある。

あれはこの世で肉体を保ったまま騙され、現世の泥やら石やらを食わされているゆえ、なんとか現世に留まれるが、夢の中では事情は異なる。肉体を持たず魂だけで迷い込んだ異界で食わされる食物は、異界のものじゃ。魂に異界のものを取り込めば魂は変質し、現世に戻ろうにも波長が合わなくなってしまうのじゃ。

夢の中で何かを食べようとして、歯がガチっとなり目覚める経験をしたことがあるならば、すんでのところで助かったのやもしれぬぞ。

2. 夢の中で得体の知れない存在に名を呼ばれ、どこかへ連れていかれそうになる

これは異界の何者かが、おぬしの魂を肉体から完全に引き離し、仲間入りさせようとしているかあるいは喰らおうとしているときに観る夢じゃ。

魂と肉体は離れようにも、生きている間は離れられないようになっている。さながら飼い主とリードで繋がれたら犬の散歩の如く、一定の距離までは離れられるが、それ以上は離れないように、エネルギーのコードのようなもので繋がっているのじゃ。

これがあるゆえ、恐ろしい夢を見たときでも麗しい夢を見たときでも、夢を介して迷い込んだどこかに魂が置き去りにならず、目覚めて肉体に戻ることができるようになっている。しかし、それを知っている異界の住人はコードを断ち切ろうと画策する。しかし、生きた人間の肉体と魂を繋ぐコードは彼らには強過ぎて噛みちぎることもできぬ。ゆえに、魂に自発的に肉体から離れ、コードが自然に千切れる距離まで引き離そうとするのじゃな。

幽体離脱を面白半分でやってはいけない理由に、実はこの事情がある。肉体から魂をわざわざ離す行為を何度もやっていると、コードもゴム紐のように伸びて弱く、切れやすくなってしまうからじゃ。あるとき幽体離脱して、戻りたくともコードが切れてしまえばあとはあの世に行くか、異界に連れ込まれるかばかりとなる。恐ろしいことよのう。

3. 明らかに妖怪や悪鬼、死霊などが大勢いる「この世ならぬ場所」を彷徨っている


夢にこの世のもの以外が現れることはしばしばあるが、それは異界の何者かが単体でこの世に入り込んできていることもあるゆえ、己の魂が異界に入りこんでしまったとは限らない。

例えば夢の中で昔住んでいた家の中を歩いていて、得体の知れないものに遭遇した、などという夢の場合は、その夢の中の家は己の記憶の再現であり、そこにいるものは異界から出てきておぬしの夢の領域に入り込んでいるだけなのじゃ。

しかし、明らかにこれまでの人生で行ったことがなく、この世に存在し得ない風景が広がり、あるいは真っ暗闇の中で、複数の得体の知れない何かに取り囲まれている場合は、異界にいる可能性が非常に高い。

滅多にないことではあるが、誰かへの憎しみや恨みや怒りを抱き続けて、負の感情に魂の境涯が堕ちてしまっているときは、異界の奥まで入り込めてしまうのじゃ。

肉体とコードが繋がった魂は、本来は異界の入り口までしか進めぬ。しかし、魂の波動がこの世よりも異界の住人に近ければ、魑魅魍魎や悪鬼からも同類とみなされ喰われることもなく、気付けば後戻りが困難なほど異界の奥深くまで引き込まれているのじゃな。

このような経験は、魂の境涯が堕ちていることを警告するために守護霊があえてさせていることもあり、一度や二度であればこの世に戻れるであろう。しかし、生き方を改めずにいると、守護霊も匙を投げ……と言うよりも去っていき、何度目かに迷い込んだときはもはや戻れなくなってしまうであろう。

安全なこの世に留まりたければ、この世の住人として相応しい生き方を心掛けることが肝要なのじゃ。


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