呪いではないが、呪いに等しくその家系の子孫を縛り、特に長男長女が結婚できぬ要因として考えられるものに「すでに神様と結婚しているから」がある。
遠野物語や多くの伝承でも聞く話であるが、平成も終わろうという現代でも、まだそのような因習を続けている一族もおるやもしれぬ。
■伝統ある一族、老舗の創業一族の祀る「神」の秘密
長い年月、戦争や不況、時代の変化も乗り越えて家業で商売繁盛している一族には大概、先祖代々大切に祀っている「守り神」がいるものじゃ。
しかし、死後の魂の平穏や良き転生を願い、あるいは罪の赦しを乞うて祀る神仏とは異なり、商売繁盛のような現世利益を与えてくれる神は、それなりの対価を要求することがほとんど。
例えば稲荷神社に一度でも何かを頼んで縁を結んだなら、一生拝み続けねばならず、願ほどきもせぬまま感謝を忘れれば祟りがあることも、昨今の神社ブームでかなり知られてきたものじゃ。
*参考
破壊された『おいなりさん』本当に怖いのは…?【現代の呪(しゅ)】(姉妹メディア・ベリーグッドの記事にリンクします)
長身細マッチョのイケメンなのにアラフィフになっても独身の御曹司の秘密とは?
そのような神を祀り家と家業の存続を成し遂げている一族にはさまざまな因習がある。
屋敷には神棚ではなく神の部屋を設け、あたかもそこに神が住まうているかのように暮らしている家も実はある。神が嫌うからとの理由である家は牛豚鶏などの獣を食べず、またある家では家の守り神が狐であるゆえ、天敵となる狼は写真や絵でも決して家には持ち込まず、狼を祖先とする犬を飼うことも禁じておる。
しかし、もっと人生に大きく関わる制約を受けている一族もいる。
ある、その土地では女子であればほとんどが憧れるような優れた容姿で、陽気で楽しい人柄ゆえにモテてしかたないある御曹司が、これまでいくら美女や良家の子女に言い寄られても断り独身を貫いている話をしよう。
その家では代々、長男は家の守り神と結婚し、ゆえに生涯独身を貫くことになっている。しかし、それでは家が絶えてしまうゆえ、その家の嫁は必ず長男のみならず次男も生まねばならず、家は二男が継いでゆくのじゃ。
その男もまた、父親はその家の二男であり、己が将来、神の婿として人間の妻を娶らず生涯を過ごすことを知り、それを受け入れていた。男は遊び人であちこちに愛人は作ったが、妻はもたなかった。
その理由は、その男が18を迎えた日に、すでに家の守り神……その家の守り神は女神であり、その婿となっていたからじゃ。
神との婚姻は一族のみで執り行われるが、家の守り神は元々その土地の山の神で本殿は山中にあるゆえ、まずは男衆で「輿」を担ぎ登山し、女神を迎えに行く。人の目には視えぬ女神を輿に乗せ、ふもとの屋敷に迎え入れる。人の結婚式と宴と同じように、永遠の愛を誓い、歌い踊り、夜が更ければ新郎となる長男は、姿の見えぬ女神と共に神を祀る部屋で一夜を過ごす。
あとは、日々の決まり事はいくつもあれど、長男は人間の女との通常の結婚はしないものの、外にならいくら愛人を作ってもよく、子供ができてもその一族の相続権さえ放棄するならば、認知してもよいのじゃそうじゃ。
これと似た話では、祀る女神が蛇で非常に嫉妬深いゆえ、愛人を作っても良いが必ず病で早死する。子供ができても流れるとの噂が立ち、名家の跡取り息子として生まれながら成人以降はまともには女性と付き合うたことがない。
旅をしながら、各地の飲み屋の女性との語らいや風俗店で空虚な心と身体を埋めているそうじゃ。こちらはなんとも寂しいのう。
★どうしても結婚してくれない「彼」にはそんな事情があるのかも
ここで話したのは男子のことじゃが、万が一にもこのような男を狙うて長年費やすことのないように、念のためじゃ。
婚活に疲れ、田舎に戻り同級生でまだ独身者はおらぬかと噂を手繰ったらこのようなワケあり男子が一人くらい見つかるやもしれぬ。しかも、「あのボンボン、まだ独身だよ。髪もフサフサでお腹も出てなくて、お金持ちなのにもったいないね」などと聞いて、我こそはと再会を狙うても、うまくいったとして愛人止まり、さらにうまくいったならば相手の家を傾け、己の命も落とすことになるやもしれぬ。
触らぬ神に祟りなしというが、アラフォー以上で、婚活条件に一つもキズがないにも関わらず独身の「長く続く一族」の男には、触らぬ神に祟りなしであるぞ。
次回は女子編じゃ!
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