妊娠中は、様々なマイナートラブルがつきものです。つわりは個人差はあるもののほとんどの妊娠中の女性が経験するマイナートラブルだと思います。また、以前妊娠中の腹痛に関しても取り上げました。そんな妊娠中のマイナートラブルの中でも、筆者がつわりに次いで多いんじゃないかな?と思っているもの…それが、腰痛です。妊娠中に腰痛を経験した方、たくさんいらっしゃいますよね?妊娠していなくてもつらい腰痛ですが、妊娠中となると出来る対策も限られてくるもの!治せないと、お仕事に差し障ったり、2人目以降妊娠中の方は、上の子の子育てもつらくなりますよね…。腰痛が酷くて寝れない!という悩みを持つプレママさんも。というわけで今回は、妊娠中の腰痛についてまとめていきたいと思います。妊娠中に腰痛が起こる原因や、妊娠中でも出来る対策をご紹介します。
また、妊娠中だからこそ気を付けなければいけないことも書いていきます。筆者も妊娠中の腰痛に悩まされているところなので、一緒に改善していきましょうね!
妊娠中に腰痛が起こる原因は?
大体いつから腰痛の症状に悩まされるのか気になる方もいるかもしれませんね。私の周りでは、妊娠中期~後期にかけて腰痛の症状があったという方が非常に多かったです。原因を探れば、その理由も見えてくるかと思います。
まず、妊娠中に腰痛が起こる原因となり得るものをまとめてみます。
- 大きくなったお腹の重みや姿勢の変化によるもの
- 妊娠中のホルモンバランスの変化によるもの
- 妊娠をきっかけとした生活スタイルの変化やストレスによるもの
大まかにはこの3つかなと思います。他にも、実は裏に疾患が隠れている場合や、重い物を持ってぎっくり腰に…なんて場合もあるかと思いますが、妊娠していなくてもあり得る要因ですので今回は主にこの3点について掘り下げていきます。
≪大きくなったお腹の重み・姿勢の変化≫
妊娠すると、赤ちゃんの成長に合わせて、胎盤が形成されたり、羊水も増えたりとだんだんそれを包む子宮が大きくなっていきます。初期にはわからなかったお腹の膨らみも、後期には見るからに妊婦だと判別できるお腹になってきます。
すると見た目の変化だけでなく、重みも出てきますよね。当然そうなれば身体にも重みの分の負荷がかかるものです。
骨盤や関節が圧迫されたり、お腹が前に出っ張っていることで腰を痛めやすい姿勢に変わってしまったりするそうで…。腰痛が起こるのも想像に難くないですね。
≪妊娠中のホルモンバランスの変化≫
妊娠すると、ホルモンのバランスが変化します。
妊娠3ヶ月ごろから分泌されるリラキシンというホルモンがあるそうなのですが、これがなかなか腰痛の観点ではクセモノのようです。
出産するためには、赤ちゃんが通れる産道がないといけないのですが、リラキシンはこの赤ちゃんの通り道を確保するために、関節や靭帯を緩め、骨盤を広げる動きをするのだとか。もちろん出産のためなので必要な作用なのですが、結果緩んだ骨盤を支えるために腰痛が起こることとなるのだとか…。必要とはいえ厄介とも感じてしまいますね。
妊娠初期から腰痛があるという方は、もしかするとこのホルモンの仕業かもしれませんね。
≪生活スタイルの変化・ストレス≫
妊娠をきっかけに生活スタイルが変わる方というのは多くいらっしゃいます。
妊娠をきっかけに退職して専業主婦になる方もいます。普段分担していた家事を一挙に引き受けることとなれば、例えば濡れた洗濯物を運ぶなどの腰を痛めやすい作業が増えてくるかもしれません。
また、妊娠をきっかけに重い物を持たないように気を遣っている妊婦さんもいます。しかし、そうすると買い物がネットスーパーや通販メインになりがち。普段そこまで使わなかったスマホやパソコンとにらめっこして、目が疲れる…なんてことも。目の緊張は腰の硬直にもつながるのだとか。
また、上記のようにパソコンとにらめっこが増えたり、妊娠をきっかけに現場仕事からデスクワークに変更になった!なんて方は、長時間座りっぱなしの生活で腰を痛めることもあります。
生活スタイル自体が変わらなくても、妊娠というのは様々な不安を伴うもの。ストレスがつきものです。ストレスを抱えていると、身体の変なところに力が入ってしまったり、身体がこわばって硬直する原因にもなりますよ。
寝れない日々とおさらば!腰痛対策
さて、ここからが本題。腰痛に悩む妊婦が一番知りたいところです。妊娠中でも出来る腰痛対策をご紹介していきます。
≪腹帯や骨盤ベルトを利用する≫
お腹の重みや、骨盤の緩みやズレで起こる腰痛。しかしお腹の重みを消すことは産むまで出来ませんし、骨盤の緩みも出産のために必要なものです。
しかし、それによる腰痛を緩和することなら出来ます。お腹の重みによる負荷を和らげたり、骨盤のズレを正す方法です。
5ヶ月の安産祈願を終えた方はご存知かと思いますが、腹帯(妊娠帯)というものがあります。昔はさらしタイプのものしかありませんでしたが、現在は腹巻のように輪っか状になっているものや、ずり上がらないパンツタイプもあってお手軽です。
腹帯を装着することで、お腹の重みを支えてくれ、腰痛も緩和されることがあります。
また、骨盤のズレは、骨盤ベルトをつけることで解消されるかもしれません。腹帯も骨盤ベルトも、西松屋やアカチャンホンポなどのショップで売っています。腹帯と骨盤ベルトがセットになっているものもあるので是非探してみてください。
≪マタニティヨガなどの運動を取り入れる≫
マタニティヨガは、妊婦でも出来るエクササイズです。
妊娠中は、お腹の子を気遣って運動不足になりがち。長時間のデスクワークなど、同じ体勢でじっとしていることは腰痛の原因になると先述しましたが、マタニティヨガを取り入れることで硬直した筋肉をほぐすことが出来ます。
さらに、骨盤のズレを補正する働きもあるようなので、こちらの効果にも期待できます!まさに妊娠中の腰痛対策にはうってつけの方法ですよね!
≪患部を蒸しタオルなどで温める≫
これは妊娠中というのは関係がないかもしれませんが、腰痛対策には「冷やす」のを勧められる場合と、「温める」のを勧められる場合があります。
どうやら、ぎっくり腰など急激な痛みを伴う急性の腰痛の場合は、炎症によるものなので、炎症を抑えるために冷やすのが良いそうなのですが、筆者の場合はお腹の重みにやられて姿勢が変わったり、デスクワークが多く、身体が凝り固まったり、血流が悪くなることが原因の慢性的な腰痛だと判断しました。妊娠中の方はこの慢性的な腰痛をもつ方が多いのではないかと思います。
慢性的な腰痛は、血行を良くして凝り固まった筋肉をほぐすために温めるのが良いそうです。なので、蒸しタオルなどで患部を温めてあげると、とっても痛みが和らぎます。筆者も実際にこの方法を試していますが、わかりやすく痛みが和らいでくれて助かっています!
私は、蒸しタオルを毎度準備するのが面倒なので、あずきのチカラという、レンチンで繰り返し使えるホットマスクなどのシリーズのおなか用の製品を使っています。元は生理痛などの緩和のための商品なのですが、腰に当てれば腰痛対策にも使え、妊娠中の冷え対策にも使えるとても便利な商品です!
≪寝る体勢や寝具を変えてみる≫
お腹が大きくなってくると、寝返りもうちにくくなりますし、体勢によっては負荷がかかって腰痛を悪化させてしまうことも。寝れない原因には寝る環境を見直す必要があるかもしれません。
仰向けはお腹も張りやすいので、横向き寝がおすすめです。また、シムス位という、うつ伏せの状態で片足を曲げた寝方がお腹に負担をかけないので良いとされています。うつ伏せでも片足を曲げることで、この足がストッパー代わりとなり、お腹がべちゃっと潰れないので安心です。
また、お財布に少し余裕があれば、寝具を変えてみるのもいいですね。薄いお布団だとどうしても床と干渉して腰痛を悪化させてしまうので、少し厚みのあるマットレスなどに替えられるとグッと楽になると思います。しかしそこまでの余裕は無い!という場合には、妊婦さん向けの抱き枕(クッション)なども売っていますのでそちらをおすすめします。産後は赤ちゃんの授乳用クッションとして使えるものもあるので、そういうものをチョイスすれば無駄にならないですよ!
妊娠中に湿布は使ってもいいの?
妊娠中は医薬品で使えるものに制限が出てきますが、湿布はどうなのでしょうか?
湿布と一言で言ってもたくさんの種類がありますが、効果の強い物は、それだけ強い成分が含まれています。中には妊娠中に使用するのは控えた方がいいものもあるようです。
外用消炎鎮痛剤は、成分が中に浸透して血管を収縮させることにより、炎症を抑える効果があるようです。しかし、妊娠中の女性が使用してしまうと、お腹の赤ちゃんにこの成分が行き届いてしまい、赤ちゃんの血管が収縮してしまうことがあるようなのです。
最悪の場合、赤ちゃんの動脈や心臓の血管が収縮=心停止となって死亡してしまったケースもあるそうなので、妊娠中の湿布の使用には本当に注意が必要です。インドメタシンやボルタレンなどが含まれるものは、基本的に妊娠中は使用が禁止されているようです。
しかし、成分の弱いものであれば、妊娠中の方でも使用可能な湿布もあります。
- 商品の箱に「妊娠中の方」の使用は控えるようにという注意書きの無いもの
- 薬剤師や登録販売者の方に使用してもいいかどうか確認をとる
- 不安であれば、病院で担当医にも使用の相談をする
という3つの段階を踏んでいれば、まず大丈夫だと思います。妊娠中の湿布の使用は気を付けなければ危険ですが、使用できるものをきちんと把握していれば、使ってもよいものですので、使える物を安心して活用していきましょう。
骨盤ベルトにも種類がある?
先程、腰痛対策に腹帯と骨盤ベルトをおすすめしましたが、実は骨盤ベルトには2種類あります。
1つは、先述した妊娠中の骨盤のズレを補正したり、重く出っ張ったお腹を支えてくれる産前用の骨盤ベルトです。
もう1つは、産後緩み切った骨盤をキュッと締めて元に戻すために使用するものです。骨盤を締めることを目的とした商品なので、妊娠中に使用してしまうと、赤ちゃんが生まれてくる道を閉じてしまうことになります。
前者は産前用、後者は産後用の骨盤ベルトとして売られていますので、妊娠中は産前用を使用してください。必ず表記を確認した上で購入するようにしてくださいね。
また、産前産後両用の骨盤ベルトというものも売られています。こちらは、産前と産後で巻き方を変えることで、どちらの用途にも添うことが出来るというものです。一定期間しか使わないものなので、このような両用の商品を試してみるのもいいかもしれませんね。
腹痛を伴うとヤバい?病院を受診する指標
腰痛は、妊娠中にはよくあるマイナートラブルの1つですが、みんな一緒だからと放っておくと、実は大変な要因が隠れていた!なんてこともあります。
そこで、腰痛は腰痛でも、病院を受診するべき症状をいくつか挙げていきます。もちろん受診してみて何事もなかった!ということもあるかとは思いますが、何かあってからでは遅いので、恐れずにお医者様に相談しましょう。
≪激しい腹痛やお腹の張りを伴う場合≫
妊娠後期の方は特に注意してほしい症状ですが、いつも通りの腰痛だけど、今日はお腹もやたら張るなあ…ということはありませんか?
そういえば今日は張りのせいなのかお腹も痛い…もしかしたらそれ、陣痛かもしれません。
陣痛と言えば真っ先に思い浮かべるのは腹痛だと思うのですが、人によって感じ方も様々なようで、生理痛をひどくしたような痛みだと言う方もいれば、お腹よりも腰が痛かった!という方もいます。
正産期であれば正常なお産の進みなため、陣痛の間隔などを記録した上で病院に電話をかけてという手順を踏めば問題ないのですが、まだ36週以前の妊婦さんは要注意!もし陣痛であれば早産になってしまい、赤ちゃんが未熟なまま生まれてしまうかもしれません。
~36週で、陣痛らしき症状があった際には、迷わず病院に電話して指示を仰いでください。迷っている間に自宅で生まれてしまったら、手遅れになってしまうかもしれません。
≪(身動きが取れないほどの)激痛を伴う場合≫
お腹の重みや骨盤のズレから来る慢性的な腰痛とは違い、突然とてつもなく激しい痛みが腰に来た!という場合は、注意が必要かもしれません。
ぎっくり腰でした…という場合もあるかもしれませんが、妊娠時、子宮内や産道で何かしらの異常が発生した場合、本来腹痛を伴うところで、腰に痛みを感じる方もいるようです。生理痛などもお腹ではなく腰に感じる方がいらっしゃるようなので、それと同じなのかもしれません。
子宮内で何か異常が起きている場合には、出血や腹痛を伴うこともあるかもしれませんので、腰痛以外の症状も確認した上で、病院に急いで電話をしましょう。身動きが取れないときは、場合によっては救急車を呼んでもいいかもしれません。不安な方は、#7119にかけて相談するのもよいでしょう。
≪何をしても全く症状が改善されない場合≫
上記の対策は、お腹の重みや姿勢の変化、骨盤や関節・筋肉の緩みやズレ、血行不良で身体が凝り固まってしまった場合に起こる慢性的な腰痛に効くと言われた対策をまとめたものです。
もちろん、それでもなかなか改善しない場合はあるかと思いますが、全く改善しない、マシにもならないという場合には、もしかするともっと他の原因が隠れているのかもしれません。
それは、妊娠関係の異常かもしれませんし、もしかすると妊娠とは関係のない、腰に症状の出る疾患などかもしれません。そうなってくると素人には判断できませんので、お医者様に相談する他ありません。
妊婦の定期検診の際にでも、腰痛の具合や、このような対策をしたが全く緩和されなかったという旨を相談してみて下さい。
また、ここに書かれていない症状でも、実はお腹の中で危険な状態になっていたという場合もありますから、上記はあくまでも参考程度にして、「ただの腰痛とは思えない」「いつもと違う、不安を感じる」という場合には、必ず病院を受診して、お医者様に相談するようにしてください。自分の普段の症状を一番よく知っているのは紛れもなく自分なので、自分の勘を信じていきましょう。何事も無くても大丈夫!
産後、いつから楽になるの?
妊娠中、ずっと腰痛に悩まされていると、一体いつから楽になるの?とイヤになってしまいますよね。
これに対して「産んだらすぐに楽になるよ!」と言いたい気持ちは山々なのですが、実はそうとも限りません…残念なことに。
まず、骨盤ベルトには産後用もあるという話から察しのいい方はお気づきかもしれませんが、産後すんなりと骨盤が元に戻ってくれないことがあります。骨盤が戻らないと、引き続きの腰痛の原因にもなりますし、産後体型が戻らないなあ…?なんていう場合には骨盤が開いているのが一因かもしれません。
産後も骨盤ベルトを上手く活用し、骨盤を締めるストレッチなどを行っていくと効果的です。
また、産後は子宮が収縮するに伴い、後陣痛というものがあります。酷さは個人差ですが、一ヶ月ほど痛みが続く方もおられます。悪露という出血も1ヶ月ほど続くので、通常より長い生理のようなものをイメージしていただければわかりやすいかと思います。
生理痛も腰に来る方がいるのと同様、後陣痛によって腰に痛みを感じる方もいるかもしれませんね。
じゃあいつから楽になるんだ!と最初に話が戻るのですが…これはもう個人差です(笑)いつからというのは一概には言えませんが、骨盤矯正を意識的に続けながら、ゆくゆく大きく重くなる我が子を抱っこして腰を痛めないように、体力づくりのために運動習慣をつけていくといいかもしれませんね。
しかし、産後は1年ほどかけてゆっくりと子宮が収縮し、元の身体に戻ろうとしている時期です。目には見えなくても身体はボロボロなので、無理のない程度を心がけてくださいね。産後の過度な運動は、子宮脱などの原因にもなりますのでご注意を!
最後に
妊娠中の腰痛は、出来る対策も限られていますが、産むまで付き合う症状なので、少しでも緩和したいものです。産後は産後で、頻回授乳や夜泣きなどが原因で寝れない日々が続くママが多いです。今の内だけでも寝れない原因になる腰痛を改善して、睡眠をとっておきたいですね。
今回は、薬などには触れませんでしたが、あまりに症状が酷い場合や、生活に支障をきたすような場合には、薬の処方などもしてもらえるかもしれません。また、湿布についても病院できちんと相談して、処方してもらったほうが安心出来るかもしれませんね。
赤ちゃんが元気に生まれてくることは何より大事ですが、ママがつらいと、十月十日耐えるのは難しくなってきます。限られた期間ですから、いつもよりは少し周りにも甘えて、息抜きしながら妊婦生活を乗り切っていきましょう!