医療の進歩によって、リスクを伴う可能性がある出産については帝王切開をすすめられますが、気になるのは帝王切開にかかる費用ですよね。今回は帝王切開にかかる費用について、費用の平均や出産一時金でまかなえるのか、双子・逆子の場合の帝王切開費用などをまとめてみました。帝王切開の費用を抑えるコツもご紹介します。
帝王切開とは?
出産には「普通分娩」と「帝王切開」という方法があります。
普通分娩が一般的ですが、母体と赤ちゃんに危険が伴う場合やリスクが高いと医師が判断した場合には、子宮切開手術によって危険を回避することがあります。これが帝王切開です。
現在は出産の回数に関係なく、5人に1人が経験しています。帝王切開の方法は、部分麻酔を施し、下腹部の皮膚と子宮を切開、さらに卵膜を破って赤ちゃんを取り出します。お母さんには意識がありますので、赤ちゃんの産声を聞くことができます。
止血・縫合後に下腹部をシールでカバーすれば手術が終了します。
帝王切開にかかる時間は1時間程度、普通分娩より少し長めの入院が必要です。普通分娩と同様に子宮が収縮しますし出血もありますが、痛み止めを処方されるので、痛みに恐れる必要はありません。経過が良好ならば、普通分娩プラス2日くらいで退院できます。
帝王切開が必要なケース
帝王切開が必要だと判断されるケースは次のとおりです。
- 逆子
- 多胎児
- 前置胎盤
- 自然分娩が難しいことが判明している場合
- 普通分娩が長引いた場合
- 胎児機能不全
- 常位胎盤早期剥離
①~④は、経過や体調を見て38週ごろに帝王切開を行います。⑤~⑦は、普通分娩の際に問題が生じて緊急帝王切開になるケースです。
帝王切開にかかる費用はどれくらい?
帝王切開の場合、出産にかかる費用は普通分娩と異なるのでしょうか?帝王切開にかかる費用について、詳しくご紹介します。
帝王切開費用の内訳
こちらは、帝王切開で出産した人が6日間入院した場合にかかった費用の一例です。帝王切開で6日間の入院は、平均的な入院日数と言えます。
- 入院料金 12万円
- 室料差額 2万円
- 分娩料 26万円
- 新生児管理保育料 6万円
- 検査・薬剤料 5万円
- 処置・手当料 5万円
- 産科医療保障制度 6万円
- その他 3万円
内訳を合計すると約54万円になります。
産科医療補償制度とは、分娩のときに赤ちゃんが障害や後遺症を負った場合に補償を受けるための掛け金です。
帝王切開は保険適応になる部分とそうでない部分があります。保険適応されないのが、産科医療補償制度、入院が延長された場合の室料差額やベッド代・新生児管理保育代です。手術費・処置費・投薬費・検査費は保険適応されるため3割負担で済みます。
室料差額については上記に限りません。例えば出産前に管理入院が必要になる場合がありますし、出産後のお母さんの体調には個人差があるからです。
帝王切開費用の平均
帝王切開の費用は、普通分娩よりも10万から20万円ほど高くなります。帝王切開費用の平均は赤ちゃん一人の場合で50~60万円ほどです。最近はよりストレスをなくすための特別なケアがついた産婦人科もありますので、産後エステやお祝い膳などのオプションを加えると、さらに高額になりますが、一般的な帝王切開の費用は、50~60万円が平均だと考えてよいでしょう。
双子の帝王切開費用
双子の帝王切開費用はどれくらいでしょうか。赤ちゃん一人の場合の帝王切開費用に加えて、双子の場合は分娩料や保育料が2人分必要です。双子の帝王切開費用は80万円~100万円ほどを目安にすると良いでしょう。
逆子の帝王切開費用
逆子の帝王切開にかかる費用は、赤ちゃん一人ですので50~60万円が平均です。
帝王切開の費用は出産一時金でまかなえる!
初めて帝王切開で出産されるお母さん、心配しないでください。帝王切開にかかる費用は高額ですが、出産では、出産手当金や出産一時金など健康保険の手当を受けることができます。
出産手当金とは
出産手当金とは、産前産後休業で会社を休んだ期間、標準報酬日数の3分の2に相当する手当が受け取れる制度です。出産のために休業する必要がある会社員などが対象です。
出産一時金とは
普通分娩でも帝王切開でも、分娩方法には関係なく、加入している健康保険から赤ちゃん一人につき42万円の出産一時が支給されます。双子の場合、出産一時金は2倍になります。
高額医療費
高額医療費とは、1か月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超えた部分の金額は戻してもらえるという制度です。自己負担限度額はその人の収入や年齢によって異なりますので、事前に加入している健康保険にて確認しておきましょう。
また、帝王切開することが決まっているなら「限度額認定証」を発行しておくと手続きがスムーズになります。入院時に窓口で健康保険証と一緒に限度額適用認定証を提示しましょう。
帝王切開で受け取れるお金は他にもある
出産においてお金を受け取れるケースは他にもあります。
勤務先の健康保険から
あなたがお仕事をしていて、勤務先の健康保険に加入している場合は出産手当金や育児休業給付金が支給されます。こちらは職場にてご確認ください。
民間の医療保険から
帝王切開は手術です。民間の医療保険に加入されている場合は保険金を請求しましょう。現在妊娠していても加入できる保険もありますよ。
最後に
帝王切開にかかる費用についてご紹介しました。帝王切開は、は普通分娩に比べて10万円から20万円ほど医療費が高くなりますが、健康保険の制度や医療保険を上手に利用すれば、それほど恐れることはありません。出産や帝王切開は色々なことを考えると不安になりますが、何より母子ともに健康であることが大切です。好きなことをしたり看護師さんや夫などに相談したりしてストレスを発散させて、ゆったりとした気持ちで出産を迎えましょう。