【芦屋道顕】行楽シーズン!危険な場所の見分け方(3)歓楽街編【霊的護身術】

行楽シーズンに気をつけたい「霊的に危険な場所」の見分け方、第3弾となる今回は歓楽街。夏休みには旅先の自然や観光名所を探索し、夜は宿でゆったり過ごす派もいれば、歓楽街に繰り出し人の世の楽しみを堪能する派もおろう。

美酒に酔い、その土地の夜にしか見られぬ顔を見るのはまことに楽しきこと。しかし、夜の歓楽街は魑魅魍魎や浮遊霊にとっては格好の人間の「狩場」である。彼らは墓場で運動会などよりも、人の欲望渦巻く歓楽街での酒池肉林を好むのじゃ。

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(2)海・湖・沼etc.編


(3)歓楽街編

歓楽街にはさまざまな妖(あやかし)がいるが、おおまかには4種類。

1.魑魅魍魎
人だった頃に酒や肉欲に溺れ、人の姿を失って長く経ち、魑魅魍魎と化してもまだ人の世の快楽に未練を持つ存在。

2.浮遊霊
繁華街での喧嘩や飲み過ぎで命を落としたもの、その歓楽街に生前よく来ていた誰かが死後、郷愁を感じで来てしまったもの、まったく生前はその歓楽街とは縁がなかったにも関わらず、この世を彷徨ううち歓楽街の欲望のエネルギーに引き寄せられてしまったものなど。

3.生霊
いわずもがな、これが最もパワーが強く厄介であるが、

歓楽街に生きる男と女、それぞれに強い執着を抱く生者の念。

夫が飲み歩くのを我慢しつつ、家で長年恨みを放出し続ける妻の生霊、水商売の相手に貢いでいる彼や彼女を通り越し、相手のホステスやキャバ嬢や風俗嬢、ホストなどを無自覚に呪うている誰かの怨念。

ラブホテルなどに集うのは不倫や浮気に怒る誰かの念も、むしろ己がそのような禁断の快楽を味わいたいと願うている誰かの欲望も。

これらはすべて、実体を持った男女に取り憑き、その怨念や欲望を満たす機会を常にうかがっているのじゃ。

4.悪鬼
悪鬼は人の姿をしている。人間の親から生まれ義務教育も受け、どこかには住民票もあり、普通の人間とは寸分違わぬ「人間」の肉体と権利を持ち、恐らく消費税くらいは確実に税金も納めているであろう。しかし、中身は悪鬼なのじゃ。

良心を持った人間からすれば信じがたい極悪非道なことをする者に対して「あいつは人の皮をかぶった◯◯だ」などということがあるが、あながちただの悪口ではなく、このような存在が昔から知られていたからではなかろうか。

こやつらの中でも、魑魅魍魎と浮遊霊は心の境涯が低くなっているときに付け狙われやすい。悪霊が如く人を妬み恨み、あるいは怒りを抱えて心が負の感情に支配されている、あるいは暴力や卑劣な手段で己の制欲を満たそうとするなどをなんとも思わなくなっていると、相寄る魂の言葉通り、低い波動を放ち低い波動の存在を引き寄せてしまうのじゃ。

特に酒が入り理性が鈍っているときが危ない。普段は品行方正な人が酒に酔って驚くべき事件を起こしたとの話を見聞きするたび、この手の視えない厄介者に魅入られたのではと危惧してしまう。

事件事故を起こした人々は、

普段は辛く苦しい日々に理性で耐え、不満も何も押し殺してきたのではなかろうか。それが酒により理性のタガが外れ、噴出した負のエネルギーゆえに、負の存在を惹きつけそれらに悪しき方向へと背中を押されたのやもしれぬ。

生霊については、直接その生霊の発生源となる相手と知り合いでなければ害はそこまでない。しかし、生霊により運が著しく悪くなった相手と共にいると関係ない自分まで運がおちたり、最悪なケースでは生霊が取り憑いた相手に仇をなそうとするとき、巻き添えを食うことがある。

悪鬼については、これはより現実的な実害が生じやすいが、見える相手ゆえ避けることも可能じゃ。道端で肩がぶつかった、目が合った、何かしらのいちゃもんをつけてくる類の悪鬼もいれば、明らかに詐欺である儲け話をもちかけてくる、女性と懇ろになったところを「俺の女だ」と脅してくるなどがある。

また、わしの読者の大和撫子は生涯ほとんど関わることはなかろうが、ホストや水商売の元締め側にこのような悪鬼はよく紛れ込んでいる。そういった蛇の道は蛇的なプロフェッショナルではなくとも、旅先の素敵な出逢いがあったと思うたら、行きずりの関係を狙うナンパ師だったなどという悲劇もあろう。

女性の気持ちをいとも簡単にもてあそびモノのように使い捨てせんとするこのような輩は悪鬼であることが非常に多い。旅先には良い出逢いもあろうが、歓楽街や酒場での出逢いには気をつけられたし。

■妖(あやかし)の多い歓楽街の特徴

こういった妖が多い歓楽街と少ない歓楽街がある。少ない歓楽街は、歓楽街とはいえまず、スナックやクラブ、

キャバクラやホストクラブ、風俗店などの水商売の店、ラブホテルなどがほとんどない。

酒は飲めるが、性的な欲望を発散させる場ではないゆえに、それ目当ての輩が寄り付かず、街に欲望のドロリとしたエネルギーが渦巻いておらぬのじゃ。ゆえに遠くから妖が惹きつけられることもなく、溜まり留まることもない。

このような歓楽街は蒸し暑い季節でも空気がカラリとしていて明るく、道行く人も店員も皆、笑顔が見える。ぼったくりやスリ、客同士の喧嘩などの話もほとんど聞かず、ガイドブックなどでは治安も良いと書かれておろう。

かたや、心が弱っているときにはどんなトラブルに巻き込まれるか分からぬ魑魅魍魎蠢く繁華街は、清々しい陽気でも常に空気がぬめっとしている。定期的に暴力事件や殺傷沙汰、火事などが起きている。火事は、その街に負のエネルギーが溜まり過ぎると起きることがあり、そのときにはただ居合わせただけでも巻き添えになるゆえ注意したいところじゃ。

このような歓楽街には、ただの飲み屋よりも水商売の店が多く、特にキャバクラやホストクラブなど、異性を色恋で引っ張り大金を巻き上げる、恨みつらみが募りやすいのも特徴である。

そのような店に縁もなく興味もないにも関わらず、その街に3日も通い酒を飲んだだけでも、渦巻く欲望のエネルギーの影響を受け、それまでの倫理観や金銭感覚が狂い、初回いくら、安いから、といった勧誘にうっかり引っかかることもあろう。

引っかからずとも、そのあたりで取り憑く相手を探している妖のうちで、己がこの世に未練を残した最初のきっかけを忘れ、手当たり次第に人間に仇をなす者があるゆえ気をつけたいものじゃ。

そやつらは幸せそうな人間は引きずり落とし、

不幸の影が見える人間には仲間にせんと心につけいってくる。歓楽街で飲んでいるとき、急に悲しい、寂しい、辛い、なぜか分からないけれど涙が出る、怒りがこみ上げるなどの負の感情に襲われたなら、それ以上長居せず、切り上げるが安全ぞ。


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