季節ごとに新色が出るアイシャドウやリップなどと比べると、変える機会がないのが化粧水や美容液などのスキンケアアイテム。
自分の肌に合うものに出会えてしまえば、年齢や体調の変化でそれまで使っていたものでは合わなくなったり、物足りなくなったりしたとき以外ではあまり他を試そうとは思わないものですよね。
ですが、使っているアイテムに不満がなくても、>ドラッグストアやバラエティショップで魅力的なキャッチコピーの新製品を発見したとき、口コミで人気のアイテムを試したくなったとき、ファッション誌で見かけて一目惚れをして、遠くのデパートの化粧品売り場まで足を運んでみたとき……。
製品のキャッチコピーや成分名を見て「なんとなく良さそう」「肌が今よりきれいになりそう」と、手を伸ばしたくなることがあるかもしれません。
合成保存料や香料の無添加、無着色などの製品は昨今とても増えていて、新しいものを購入するときには必ず気にかけている方は多いと思います。
ですが、意外とそのはたらきを把握していないのがその製品を選ぶ1番の理由となるはずの成分。それぞれの成分のはたらきを知っておけば、自分のなりたい肌に合う製品を選ぶのが楽になりますよね。
今回はまず、保湿を目的としたスキンケア製品でよく見かける2つの成分「ヒアルロン酸」「セラミド」の違いについて。
■ヒアルロン酸(ヒアルロン酸Na)
ヒアルロン酸はスキンケア製品では、主に肌の乾燥やシワが気になるときに、肌表面のうるおいを保つ保湿剤としてはたらきます。
ヒアルロン酸はもともと人間の身体の中にあるムコ多糖類という成分。肌では真皮層に存在します。水溶性で、ごく少量でも水に溶けると、とろみが出ます。「ヒアルロン酸入り」のスキンケアアイテムは肌につけると少しペタペタしますが、あれがまさに水に溶かしたヒアルロン酸独特のとろみなんですね。
1gで2-6ℓの水分保持力があると言われていますが、加齢と共に体内のヒアルロン酸は減少します。40代にもなると赤ちゃんのときのおよそ半分程度に、60代ではなんと4分の1程度にまで減ってしまうそうです。
化粧品に使われるヒアルロン酸Naは以前はニワトリのトサカから抽出。現在ではより安全性の高い乳酸菌発酵による製造法で作られた原料を使用するメーカーが増えています。
■セラミド
セラミドはスキンケア製品では、角質層内で肌のバリア機能のはたらきをします。
セラミドは、角質細胞の間に存在する「細胞間脂質」の一つ。細胞同士を結びつけることで外部の刺激物が角質層に入り込ませないバリアとしてはたらき、同時に角質層内の水分の蒸発も防ぎます。
セラミドは「スフィンゴ脂質」とも呼ばれ人の体内で作られます。脂質でありながら水にも油にもよく溶けるため化粧水や美容液、ヘアケア製品などにも幅広く使用されています。化粧品に使われるセラミドは動物由来のもののほか、米ぬかやこんにゃく芋から抽出された植物性のセラミドや酵母から作られたバイオセラミドなども増えています。
また、セラミドは機能の異なる複数のタイプが存在し、それぞれに1-7までの数字が割り振られています。アトピー性皮膚炎の人は、このセラミドの中でも、ほかのセラミドよりも水分保持と外部刺激を防ぐバリア機能が優れた「セラミド1」が不足していることが最近の研究で分かってきています。
アトピー性皮膚炎ではない人でも、体内のセラミドは加齢により減少し、40代では20代の頃の約半分になってしまうそうです。
スキンケア製品におけるヒアルロン酸とセラミドの違いとは?
ヒアルロン酸もセラミドも保湿を目的としたスキンケア製品の成分として配合され、どちらも不足するとシワやたるみの原因となる点は同じですが、それぞれのはたらきには大きな違いがあります。
◎ヒアルロン酸
角質層に守られた「真皮層」に存在し、肌に与えられた水分が蒸発してしまわないよう、抱え込む「水分保持」のはたらき
不足すると?
角質層の細胞間を満たすクッションのようなはたらきをしているため、加齢などで減少すると肌がしぼんでハリが失われシワもできやすくなる
→スキンケア製品で外部から補うことで、肌のハリや潤いを保つ
◎セラミド
皮膚の一番上の層「角質層」に存在。肌内部への外部刺激や水分の蒸発を防ぐ「バリア」としてのはたらき
不足すると?
角質層の細胞の結合が弱まり、バリア機能が低下。外部からの刺激に反応して肌荒れを起こしやすくなり、肌の水分が蒸発して乾燥しやすくなる
→外部から補うことで、肌のバリアを復活。肌荒れも乾燥もしにくい肌に
ヒアルロン酸で保湿だけをしてもバリア機能が低下していればせっかく補った水分が蒸発してしまい、セラミドでバリア機能だけ補っても、肌が水分不足では乾燥したままになってしまいます。
ヒアルロン酸もセラミドも、肌のハリと潤いを保つうえではどちらも必要な成分。もし、どちらか片方だけ補っていて、肌の乾燥がまだまだ気になるという方はもう一方の成分を含むスキンケア製品を取り入れてみてもいいかもしれませんね。
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