中編【芦屋道顕】町で偶然何度も遭遇する見知らぬ人のちょい怖な話【現代の呪】

彼の自宅は売り家となっており、不動産仲介業者の看板が掲げられていたのじゃ。

それからまた数ヶ月後に知らない番号から電話があり、出てみると彼であった。早速仲間で集まり事情を聞くと、彼の父親が多額の負債を抱え、家を手放し小さなアパートに移り住んでいたそうじゃ。

しかし、両親の喧嘩が絶えず、狭いアパートでのギスギスした日々に嫌気がさして、彼はしばらく家出をして、ホームレス同然の暮らしをしていたそうじゃ。当時まだ、田舎には漫画喫茶もなかった頃ゆえ、さぞ大変な思いをしたであろう。

そのとき、本人も言うたが、皆もやはりあの「何度も特定のホームレスを見かける」話を思い出し「前兆だったのか!」「警告だったんだ」と、恐ろしく思うたものじゃ。

さらに、ぞっとすることにはその友人はもともとは几帳面で人並みの生活習慣をきちんとし、歯磨きも欠かさず綺麗な歯並びもしておったが、自宅を失ってからの度重なる両親の喧嘩に巻き込まれ、ついカッとなって父親を殴りつけ、やり返されてなんと、