※芦屋道顕が家業で忙しいのでブラザー辛の代筆です。
ざっと聞いた話なので短いですが……。
死者の魂をこの世に留める2つの呪法
死者の魂をこの世に留める呪法があるとのこと。
そのやり方は2通りあり、
1つは、死んでしまって、肉体がなくなった誰かの魂を留めるのではなく、
すでに寿命が尽きた肉体から魂が離れないようにして、
肉体を動かし続けるための呪法。
もう1つは、
肉体が死んだ後、その肉体…….。『遺体』は他の人々に分からぬよう処理し、あるいは、とある用途で使い、
魂には「おまえはまだ生きている」と強い暗示をかけて、さらには呪術によって器(うつわ=魂を入れておく仮の身体)を持たせる。
本人は生きていると思い込んでいるから普通に肉体があるものとして生活し、呪術によって作られた器は他人にも見える、触れる、実体となる。その人物の肉体的な死も遺体も目撃していない人達には、その人が死んだことも分からない。
今の世の中には、そのように、
『すでに死んだ肉体を魂が動かしている』
『すでに死んでいるのに、生きていると思い込み呪術で作られた器に入っている』
人々が大勢いるのだとか。
ただ、その呪法は永遠に作用するものではなく、月日の経過とともに効力は薄れ、効力が薄れれば、生きていると暗示をかけられている魂が、自分が肉体的にはすでに死んでいると気付くこともあるんだって。
また、呪法は他人の目も欺くものの、霊的な能力が強い人々が彼らに遭遇すると、彼らの姿は明らかに異様で、見え方は人それぞれではあるけれど、例えば全体が黒っぽいモヤで覆われているように見えたり、顔がぐにゃぐにゃと歪んで見えたりするそうだよ。
呪法の期限が来ると彼らは『突然死』や『蒸発』をする
呪法はたいてい1000日……。だいたい3年未満で効果が切れてしまうそうだ。長くても5年から7年とのこと。いつからその呪法が頻繁に使われ出したのか、誰が何の意図で、などはまるで不明なんだけど、とにかくここ数年で、それ以前にかけられたその呪法の『期限切れ』が来ている人が多いんだって。
呪法の期限が来ると、
死んだ肉体を動かし続けていた場合は、肉体と魂の呪縛が切れるので、原因不明の『突然死』となるそうだ。
呪術で器を作っていた場合は、魂が自分がすでに死んでいることに気付いてしまうと、器はそもそも物理的なものではないので、消えてしまう。人が突然行方不明になることを「蒸発した」と言うことがあるけれど、この場合は本当に「蒸発」したようになってしまうそうだ。