【怖い話】前編:祖父が医師からの死亡確認後、半日経って生き返った【芦屋道顕】

ひさびさじゃな!実は昨年末、親族に不幸があったゆえ葬儀に出るため帰省し、そのまま地元でしばらくダラダラ……。いや、祖父の大事な蔵書や記録を読み漁り、さらに年末年始に特殊なバイトをしつつ(詐欺ではないぞ。心霊現象に関わる仕事じゃ!)友達などとも会い、本当にあった怖い話やら霊的な知識交換やらもしてきたぞよ!

・・・ということで、霊魂にまつわる怖い話をまた紹介していくぞよ。

※この「・・・じゃ」「・・・ぞよ」という言葉遣いでさらに伝聞形式にすると「と、言ったそうじゃ」「であったらしいぞよ」など、読みにくくなるゆえ、普通の口調にするぞよ。

死亡確認後に『息を吹き返した』祖父は別人に

これは友達Tが小学生だった時の話。

「うちは祖父が年単位で寝たきりだったけど、介護施設の空きがなくて、ずっと母と、近所に住んでいた母の姉妹が日替わりで介護をしていた。祖父がいよいよ、となって普段から訪問してくれていた医師が呼ばれ、家族も皆が見守る中で祖父は息を引き取った」

「医師が死亡時刻を確認して死亡診断書に書き込み、両親は医師に感謝を伝えしばらく話してから、医師は帰った」

「その後、両親は手分けをして寺への連絡、葬儀費用の確認、まだ連絡をしていなかった親族に電話をかけるなど慌ただしく動いていた」

「一通りの連絡が済んで、両親も看取りに来ていた親族もようやく落ち着いて、頼んでいた仕出しの弁当が届いたので、祖父の遺体を安置している一階の祖父の部屋から遠い、二階の居間で食べようということになった。普段、食事をとる部屋は祖父の部屋のすぐ隣で、お線香をたくさんつけていたから食事をする感じじゃなかった」

「でも、そういう風習らしいけど、人が亡くなったときは告別式までの間、誰かが必ず遺体のそばにいて、お線香をたやさないようにしないといけないらしいね。お通夜は明日の夜で明後日が告別式、と決まった。その日の夜は母と母の姉妹、僕にとっての叔母さん達が交代でそばにいることになった」

「その日の夜は大人達がなんだかんだで集まって酒盛り的なことをしてずっと起きていたから、僕も部屋に戻りはしたけど寝ないでこっそりゲームをしていた。母も今夜は『ダメでしょ!』なんて怒りにくる余裕もないし、と。でも夜中の2時半頃かな。ドタドタ階段を登ってくる音がして、母が僕の部屋に飛び込んできた。すっごい怯えた顔して」

『Tちゃん!おじいちゃんが、おじいちゃんが生きているの!来て!』

「怯えた顔のまま、母はそう言って僕の腕を引っ張った。最初はわけが分からなかった。子供だけど、その時点で祖父が死亡確認されてから半日は経ってたし、生き返るなんてことがあるはずないと分かってた。だから、母の言葉がすごく怖かったし、祖父の部屋になんて行きたくなかった」

「でも、腕を引っ張られて、振り解いて拒否するほど僕は頑固でもなかった。まさかねー、と思いつつ、本当だったらどうしよう、と半分は怖がりつつ、祖父の部屋に向かった」

「祖父の部屋は和室で、隣の居間とはふすまで区切られていたけれど、そのふすまは人が一人通れるくらい開いていた。母が通った時に開けたんだと思った。でも母は『私はさっき、ここ閉めたのよ!』と叫ぶように言った」

「僕は、内心怖いのを隠しつつ『そんだけ焦ってたら閉めてなかったんでしょ』と言いながら、ふすまをさらに横に引っ張って祖父の部屋を全開にした」

「本当に信じられない状態だった。葬儀屋の人達が整えてくれたはずの祖父の棺が畳の上でひっくり返っていて、祖父の遺体はそこにはなかった」

「異変に気付いた他の親族と手伝いに来てくれていた近所の人達が二階の居間から降りてきた。そして棺の状態を見てみんな驚いた。当たり前だけど」

「母はみんなに『おじいちゃんが生き返った!でも起き上がって私を見たときの顔つきが……。あれはおじいちゃんじゃなかった!怖くて、Tを呼びに行って、戻ってみたらもう、いなかったの!』と、ほとんど泣きそうな声で訴えた」

「みんな、母がおかしくなったのかと思っただろう。何言ってんだ?じいさんの遺体はどこだ!?などと母を責めた。でも、それはほんの数分、いや数十秒だったんじゃないかな?外から猛烈な犬の吠える声と、近所の人らしき叫び声が聞こえて、みんなハッとした」

「母も、他の親族もみんな夜中だけど走って家の外に出た。そこには、葬儀屋さんに頼んで祖父の死装束にと着せてもらった祖父のお気に入りだった外国製のスーツを着た……。祖父が立っていた」

「でも、その祖父は明らかに様子がおかしかった。吠え続ける犬を、珍しいものを見るような顔つきでじっと見つめている。犬のほうはどう見ても怯えて吠えている。犬の散歩をしていた近所のおばさんは、昼間に祖父が亡くなったと聞いて、仏花を香典を持って手伝いにきてくれた人だった。だから、祖父が医師から死亡確認を受けて、すでに数時間経っていることも知っていた。おばさんの顔は本当に恐怖に満ちていた。まあ、僕も……。マンガなんかでよく『コイツ、怖過ぎてちびったぜ』を、初体験した(苦笑)それくらい、本当に怖かった」

前編はここまで。後編に続く。

現代の呪 | 芦屋道顕 | モビぶっく(Mobibook)

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芦屋道顕の真夏の怪談

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