行楽シーズン!危険な場所の見分け方(5)最悪最恐は遺跡以外の『廃墟』【芦屋道顕の霊的護身術】

さて、行楽シーズンに限らず昨今は廃墟ブームでわざわざ廃墟に出向く人々もおるようであるな。

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太陽が出ている時間帯であれば生者に仇なす何者かも力が弱っているゆえに、よほど波長が合わぬ限りは滅多には憑依など起きぬもの。廃墟ブームで観光に行くのはあまり関心はせぬが、昼間でなおかつ外から見るだけで中に足を踏み入れぬならばそれほど危険はなかろう。

廃墟写真集などがあるが、それらも昼間に撮ったもの、夜であっても遠景であれば撮影者も恐らくは問題なく帰ることができたはずじゃ。

■夜の廃墟は『異界』そのもの

しかし、太陽が沈んでから廃墟内に足を運ぶは話は全く別。昼間はただの廃墟でも夜はそこは異界の者達が支配する、異界そのものの領域となる。

多少でも霊感のある者はそこにいる何者かに気付いてしまうゆえ、頼られる……憑依される可能性が高く危険である。ふだんは霊感がゼロという者であっても、気付かぬゆえに危険な場所まで足を踏み入れて、地雷を踏むがごとく怨霊や悪鬼の怒りを買い憑依されてしまう危険がある。

夜の廃墟に足を踏み入れたとて、何者にも干渉されず無事な者ももちろんおるが、彼らは強い守護者がついているからじゃ。あるいは、本人が人間よりも魔物に近い存在の場合も平気どころかむしろパワーを増すことがあるが、それはよほどまれ。

ごく一般人で、

危険な目に遭ってもその人だけが助かる理由は多くの場合、強い守護者の守りゆえに無事でいられるから、というものがある。しかし、その守護者ですら本人が廃墟や心霊スポットと呼ばれる場所に面白半分で何度も出向くようであれば愛想を尽かして離れてしまう。すると、ほかに新たな守護者がやってくるが、離れた存在よりも霊的な力は弱い者であることは間違いない。

★閑話休題★

危険な場所によく行く記者やカメラマンには強い守護者が?

あまり知られていないというよりは、知らせては社会道徳的によくないからこれまでの人々が黙っていたのやもしれぬが、記者やカメラマンなどで事件事故現場に頻繁に出向き、なんの霊障も受けず天寿を全うする人は多いが、彼らはもともとそのような役割で生まれているゆえに、強い守護者がついていることが多いのじゃ。特に、死者にせよ自然霊にせよ、その場の状況を広く生者に伝えて欲しいと願う存在は、その願いを代行する生者を攻撃はしないのじゃ。

ゆえに、彼らに何も起きなかったからと安心してそのような事件事故現場や廃墟を訪れても、面白半分の一般人ならばどのような恐ろしい目に遭わされるか分からぬ。廃墟の美しい写真集を楽しんだり怖い話を読んだりするぶんにはよいが、くれぐれも現地に足を運んで肝試しなどは考えるでないぞ。

■廃墟が最も危険な理由

ではそろそろ、物見遊山で訪れるべきでない、憑依の危険性が高いスポットの中でも、廃墟が最悪な理由について。これまでに取り上げた繁華街や宿屋よりも廃墟が危険な理由は、

廃墟のまま放置せざるおえないほどに「触れられない」場所だから

遺跡などで歴史的な価値がある場合はそれゆえに保存されるが、それ以外ではたとえ火事で死者が出ようと殺人事件があろうと、その土地自体は地権者や不動産関係者にとっては、更地にしてしまえばまた有効活用できる大事な資産。放置するはずがないのじゃ。

たくさんの死者を出した事件事故現場も、

さらに遡れば昔の処刑場跡地や死体を投げ捨てていた土地ですら、今は立派なマンションや商業施設が建っている。殺人事件のあった家で新築を建てても買い手がつかないような土地ですら、公園や駐車場として活用されている。

郊外の商業施設や宿屋などで、赤字で潰れ買い手がつかずに放置される場合は、年月は経っても所有者が生きていれば建物込みでの購入者を待ち、あるいは更地にして、いずれも中に他人が入らないよう管理し最低限の手入れをするゆえ、廃墟化することはない。

そのような世の中にあって、廃墟のまま年単位で放置される場所とは、地権者がその廃墟内であれ外であれ不審死を遂げているか失踪していて正常な土地取引が成り立たない状況となっているか、土地をなんとかして手に入れた側も、手出しをできなくなっていることが多い。

どんな来歴の不動産であれ、無理矢理に取得して強引に活用できるその筋の業者すらどうにもできない廃墟は、さまざまな目に視えぬ者たちの妨害により、取り壊しができないのじゃ。それ以前に、誰かが如何なる手段でその土地を取得しようとしても、何かしらの不都合や係争が発生し、契約がままならぬなどもあろう。

そういった廃墟には、最初にそこで犠牲者が出た段階で、その犠牲者の霊のみならず近くを彷徨っていた霊や魑魅魍魎が引き寄せられ居ついている。もともと異界の出入り口が近くにあったか、霊道が通っていたならばこの世にちょうどよい棲家が出来たと異界の住人達がひっきりなしにやってきて占拠する。

ときどき、霊能者が霊の出る物件のお祓いをする話があるが、このレベルになると霊能者一人などではおよそ立ち向かえまい。

一人二人の自殺者の出た部屋や曰く付きの人形一つをお祓いするのは、卑近な言い方をすればたとえ相手が霊や魑魅魍魎とはいえ、

頑固な人間の一人や二人、あるいはどう猛な犬などと立ち向かうようなもの。しかし、廃墟に集う有象無象との対決となると、さまざまな武器と戦闘技能を持った特殊部隊10人と戦うようなものじゃ。誰も引き受けたがらぬゆえ、廃墟はやはり放置され続けるのじゃな。

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