【真夏の怪談】あの人、もうすぐ死んじゃうんだよ【芦屋道顕】

【真夏の怪談】あの人、もうすぐ死んじゃうんだよ

昔は子供が無事育つのは当たり前ではなかったゆえ、7歳までは神のうち」なる言葉があった。

有名な童謡の「とおりゃんせ」には「この子の七つのお祝いにお札を納めにまいります」とあり、

現代でも3歳、5歳、7歳を『七五三』として祝う風習が残っているが、無事に7歳を迎えられるのは神仏の加護のおかげとの考えがあったのじゃな。

そして、7歳を迎えるまでにもし命を落とすようなことがあってもそれもまた神仏の思し召しによるものと考えた。

「神さまのところに帰ったのだ」と、周囲は子を亡くした親を責めず慰め、親もまた愛しい我が子は短い命をどのように終えたとしても、今は神の元にいて安全なのだと信じることで、深い悲しみと喪失感を乗り越えたのであろう。

しかし幼子が神に近い存在であることは、昔の人の方便ではなく、真実の一面もある。大人には見えぬものが、幼子には視えていることが多々あるのじゃ。

■人の死期を当てる少年

その少年は赤子の頃から、どうやら大人には見えぬものが視えていたらしい。母親によれば、ベビーベッドでつかまり立ちをして、何もない空間を見つめて親があやしたときのようにキャッキャと楽しげにしたり、ハイハイを始めてからも一人であらぬ方向を見つめニコニコとしていることがあったそうじゃ。

すくすくと成長し、5歳に差し掛かった頃から、その少年は不思議なことを言うようになった。家族で町を歩いているとき、通りすがりの人を時折じっと見て、

「あの人、からだが透けてるよ」

通り過ぎてから、

「あの人、もうすぐ死んじゃうよ」

などと頻繁に口にしたそうじゃ。

最初は母親も、幼稚園で変なことを言う友達がいるのか、テレビやアニメの影響かと取り合わなかった。何より、街中ですれ違う赤の他人がもうすぐ死ぬのが本当だとしても、それが事実かを確認しようもなかったからであろう。

そんなある日、

少年がまた幼稚園バスを降りるなり、不思議なことを口にした。

「運転手のおじさん、影がなくなってたよ」

「もうすぐ死んじゃうんだよ」

母親はそのとき、また不吉なことを……と思ったが、ちょうど翌週でその運転手が引退することになっており、お別れ会が予定されていたので「いなくなる=死ぬ」と間違えて覚えているのかもしれないと考えて自分なりに納得したそうじゃ。

ところが、その夕方。幼稚園の連絡用グループに、その運転手が急死、明日のお迎えバスは別の人になるとの連絡が入ってきて、母親はひどく驚いた。息子には本当に、大人には見えないものが視えているのかもしれない、と。

その後も、その少年の「死の予言」は全て当たっていった。マンションの同じ階のおじいちゃん。ドラッグストアでよく顔を合わせるおばちゃん……。

少年によると、死期が近い人の見分け方は「影が薄くなる・なくなる」で、同時に「からだが透けてみえる」ようにもなるそうじゃ。

しかし、6歳を過ぎると少年はもうそのようなことは言わなくなった。そして、7歳の誕生日を迎えた朝には、また不思議なことを口にした。

「夢の中で、ほかに何人かの子たちと『かみさま』に呼ばれるのを待っていた。ぼくよりもっと小さいほかの子たちはどんどん呼ばれて、でもぼくは呼ばれなかった」

「呼ばれなかったからずっとそこにいたら、顔の見えないおばさんが来て、言ったんだ。『おや、おまえはずいぶん大きいんだね。歳はいくつだ……なんだ、もう昨日で”おやくごめん”だったんじゃないか。もう、おまえは来なくていいよ』って。追い払われて、どうしようと思ってたら目が覚めたんだ」

その日以降、少年には人の死の兆候は見えなくなったようで、誰かの死について語ることはなくなった。

しかし、ただ一度だけまた、不思議なことを口にした。

テレビで、ある5歳の少女が命を落とした痛ましい事件のニュースを流していたときだった。

亡くなった女の子の写真と名前が画面に映ると、少年は言った。

「あ!この子、夢で一緒に『かみさま』を待ってた子だ。この子は呼ばれたんだよ」

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