少年がまた幼稚園バスを降りるなり、不思議なことを口にした。
「運転手のおじさん、影がなくなってたよ」
「もうすぐ死んじゃうんだよ」
母親はそのとき、また不吉なことを……と思ったが、ちょうど翌週でその運転手が引退することになっており、お別れ会が予定されていたので「いなくなる=死ぬ」と間違えて覚えているのかもしれないと考えて自分なりに納得したそうじゃ。
ところが、その夕方。幼稚園の連絡用グループに、その運転手が急死、明日のお迎えバスは別の人になるとの連絡が入ってきて、母親はひどく驚いた。息子には本当に、大人には見えないものが視えているのかもしれない、と。
その後も、その少年の「死の予言」は全て当たっていった。マンションの同じ階のおじいちゃん。ドラッグストアでよく顔を合わせるおばちゃん……。
少年によると、死期が近い人の見分け方は「影が薄くなる・なくなる」で、同時に「からだが透けてみえる」ようにもなるそうじゃ。
しかし、6歳を過ぎると少年はもうそのようなことは言わなくなった。そして、7歳の誕生日を迎えた朝には、また不思議なことを口にした。
「夢の中で、